■2009年行政書士試験・民法第4問(債権)

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■催告(2009−30)【条文知識問題】

Aに対して債務を負うBは、Aのために、自己が所有する土地に抵当権を設定した(他に抵当権者は存在しない)。この場合における抵当権の消滅に関する次のア)−オ)の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア) Aは成年被保佐人であるBとの間で、Bの所有する不動産を購入する契約を締結したが、後日Bが制限行為能力者であることを知った。Aは、1ヶ月以上の期間を定めて、Bに対し保佐人の追認を得るべき旨を催告したが、所定の期間を過ぎても追認を得た旨の通知がない。この場合、その行為は追認されたものとみなされる。

イ) CはDとの間で、C所有の自動車を、代金後払い、代金額150万円の約定でDに売却する契約を締結した。Cは自動車の引き渡しを完了したが、代金支払期日を経過してもDからの代金の支払いがない。そこでCはDに対して相当の期間を定めて代金を支払うよう催告したが、期日までに代金の支払いがない。この場合、C、D間の売買契約は法律上当然に効力を失う。

ウ) Eは知人FがGより100万円の融資を受けるにあたり、保証(単純保証)する旨を約した。弁済期後、GはいきなりEに対して保証債務の履行を求めてきたので、Eはまずは主たる債務者に催告するよう請求した。ところがGがFに催告したときにはFの資産状況が悪化しており、GはFから全額の弁済を受けることができなかった。この場合、EはGが直ちにFに催告していれば弁済を受けられた限度で保証債務の履行を免れることができる。

エ) Hは甲建物を抵当権の実行による競売により買い受けたが、甲建物には、抵当権設定後に従前の所有者より賃借したIが居住している。HはIに対し、相当の期間を定めて甲建物の賃料1ヶ月分以上の支払いを催告したが、期間経過後もIが賃料を支払わない場合には、Hは買受け後6ヶ月を経過した後、Iに対して建物の明け渡しを求めることができる。

オ) Jは、自己の所有する乙土地を、その死後、世話こなった友人Kに無償で与える旨の内容を含む遺言書を作成した。Jの死後、遺言の内容が明らかになり、Jの相続人らはKに対して相当の期間を定めてこの遺贈を承認するか放棄するかを知らせて欲しいと催告したが、Kからは期間内に返答がない。この場合、Kは遺贈を承認したものとみなされる。

1) ア)、イ)
2) ア)、ウ)
3) イ)、エ)
4) ウ)、オ)
5) エ)、オ)

■解説

【難易度】普通。

ア) 誤り。この場合は、追認が擬制されるのではなく、Bのなした行為の取消が擬制される(20条4項)。追認が擬制されるのは、AがBの保佐人に対し催告をした場合である(20条2項)。前掲山田他『民法T』第3版補訂(2007年、有斐閣)47頁以下。

イ) 誤り。「売買契約は法律上当然に効力を失う」という点が誤り。無効ではなく、CはDに債務不履行責任を追及できる(412条以下)。

ウ) 正しい。催告の抗弁権(452条)の事案である。債権者が、催告の抗弁権を受けたにもかかわらず、主たる債務者への請求を怠りその間に債務者の資力が減少し、主たる債務者から全部の弁済を受けることができなくなったような場合、保証人は、債権者が直ちに催告又は執行をすれば弁済を得ることができた限度において、その義務を免れる(455条)。前掲野村他『民法V』第2版補訂(1999年、有斐閣)150頁以下。

エ) 誤り。この場合は6ヶ月経過していなくとも建物の明渡を求めることができる(395条2項)。

オ) 正しい。987条。

よって正解は4)になろう。