■2009年行政書士試験・民法第1問(総則)

行政書士合格講座2009年行政書士試験の問題解説>2009年行政書士試験・民法第1問(総則)

このサイトについて・プライバシーポリシー 憲法学の窓・公務員試験対策室 Site Map

■代理(2009−27)【判例、条文知識問題】

代理に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

1) Aは留守中の財産の管理につき単に妻Bに任せるといって海外へ単身赴任したところ、BがAの現金をA名義の定期預金としたときは、代理権の範囲外の行為に当たり、その効果はAに帰属しない。

2) 未成年者Aが相続により建物を取得した後に、Aの法定代理人である母Bが、自分が金融業者Cから金銭を借りる際に、Aを代理して行ったCとの間の当該建物への抵当権設定契約は、自己契約に該当しないので、その効果はAに帰属する。

3) A所有の建物を売却する代理権をAから与えられたBが、自らその買主となった場合に、そのままBが移転登記を済ませてしまったときには、AB間の売買契約について、Aに効果が帰属する。

4) 建物を購入する代理権をAから与えられたBが、Cから建物を買った場合に、Bが未成年者であったときでも、Aは、Bの未成年であることを理由にした売買契約の取消しをCに主張することはできない。

5) Aの代理人Bが、Cを騙してC所有の建物を安い値で買った場合、AがBの欺岡行為につき善意無過失であったときには、B自身の欺岡行為なので、CはBの詐欺を理由にした売買契約の取消しをAに主張することはできない。

■解説

【難易度】普通。事例形式の出題ではあるが、問題文中には特にひっかける要素もなく、条文知識で肢の正誤判断は可能だろう。 民法改正に伴う補足事項がある(外部ブログ)。

1) 誤り。「夫が単身で長期の海外駐在に出る際、『財産の管理についてあとのことは任せた』と妻に言い残したとする」。この場合代理権の範囲は明らかではないものの、Bは103条により管理行為(保存行為、改良行為、利用行為)をなし得る。そして現金を定期預金にする行為は、利用行為に該当すると解されているので効果はAに帰属する。内田貴『民法T』第2版(1999年、東大出版会)129−130頁。

2) 誤り。当該契約は、自己契約の問題というより制度趣旨−代理行為が本人の利益を害する−を同じくする「利益相反」(826条1項)行為に該当するので、効果はAに帰属しない。山田−河内−安永−松久『民法T』第3版補訂(2007年、有斐閣)171頁以下。

3) 誤り。代理人が本人を代理しつつ、代理人自身との間で契約を締結することを「自己契約」と言うが(前掲山田他169頁以下)、これをすることは許されていない(108条本文)。当該Bの行為は自己契約であり、Aに契約の効果は帰属せず、Bの行為は無権代理となる。

4) 正しい。代理人は行為能力者であることを要しない(102条本文)のだから、未成年者Bを代理人にしたAは、Bの能力制限を理由とする売買契約の取消を主張できない。前掲山田他178頁。

5) 誤り。代理行為に瑕疵が生じた場合、善意悪意等は代理人について決める(101条1項)ので、本人Aが善意無過失であっても、CはAに詐欺取消の効果を主張できる。前掲山田他177頁。