■2009年行政書士試験・憲法第3問

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■内心の自由(2009−5)【判例知識、理論問題】

精神的自由権に関する次の記述のうち、判例の趣旨に照らし、正しいものはどれか。

1) 憲法19条の「思想及び良心の自由」は、「信教の自由」(20条1項)の保障対象を宗教以外の世俗的な世界観・人生観等にまで拡大したものであるため、信教の自由の場合と同様に、固有の組織と教義体系を持つ思想・世界観のみが保護される。

2) 憲法19条の「思想及び良心の自由」は、国民がいかなる思想を抱いているかについて国家権力が開示を強制することを禁止するものであるため、謝罪広告の強制は、それが事態の真相を告白し陳謝の意を表するに止まる程度であっても許されない。

3) 憲法20条1項の「信教の自由」は、公認された宗教に属さない宗教的少数派であった人たちにも、多数派と同等の法的保護を与えるために導入されたものであるため、すべての宗教に平等に適用される法律は違憲となることはない。

4) 憲法20条3項は、国が宗教教育のように自ら特定宗教を宣伝する活動を行うことを禁止する趣旨であるため、宗教団体の行う宗教上の祭祀に際して国が公金を支出することが同項に違反することはない。

5) 憲法20条3項は、国と宗教とのかかわり合いが、その目的と効果に照らして相当な限度を超えた場合にこれを禁止する趣旨であるため、国公立学校で真摯な宗教的理由から体育実技を履修できない学生に対して代替措置を認めることを一切禁じるものではない。

■解説

【難易度】易しい。思想、良心の自由、信教の自由についての総合的問題である。

1) 誤り。思想、良心の自由の保障対象は、ここでいう思想、世界観のみに限定されるのではなく、主義、主張等の個人の人格的な内面的精神作用を広く含む。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)147頁、佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)217頁。

2) 誤り。謝罪広告強制事件(最大判昭和31年7月4日)。は、謝罪広告の強制が、「単に事態の真相を告白し陳謝の意を表するに止まる程度」であれば、代替執行による強制も許されるとしている。前掲芦部148−149頁、佐藤217−218頁。

3) 誤り。適用面だけで20条違反の有無は決まらない。すべての宗教に平等に適用される法律であっても、法律の内容が信仰の自由の侵害になるなら当該規制は絶対に許されるものではない。前掲芦部151頁。

4) 誤り。当該公金支出が目的効果基準の要件を具備できなければ、違憲になる場合も有り得る。前掲芦部156頁以下参照、佐藤232頁以下参照。

5) 正しい。剣道実技拒否事件(最判平成3年8月3日)である。前掲芦部154−155頁。