■2009年行政書士試験・法令記述式第3問

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■民法・177条の第三者(2009−46)【判例問題】

次の【設問】を読み、【答え】の中の( )に適切な文章を40字程度で記述して、設問に関する解答を完成させなさい。

【設問】
XはA所有の甲建物を購入したが未だ移転登記は行っていない。現在甲建物にはAからこの建物を借り受けたYが居住しているが、A・Y間の賃貸借契約は既に解除されている。XはYに対して建物の明け渡しを求めることができるか。

【答え】
XはYに対して登記なくして自らが所有者であることを主張し、明け渡しを求めることができる。民法177条の規定によれば「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」とあるところ、判例によれば、同規定中の( )をいうものと解されている。ところが本件事案では、Yについて、これに該当するとは認められないからである。

■解説

【難易度】やや難しい。177条の第三者についての定義を正確に記述するのは、難易度が高かったと思う。

177条の解釈論は、@「登記を必要とする物権変動は何か」と、A「第三者とは何か」についての2つに大別できる。本問では、@については「売買契約」であるが、これは当然対抗問題を生ずる物権変動である(内田貴『民法T』第2版〔1999年、東大出版会〕423頁)。ではXは、この物権変動を第三者(Y)に主張するのに登記を常に要するか、ということである。

この点について、元々177条の「第三者」は、文字通りの第三者をを指すとされてきたが(無制限説)、後に判例は第三者の範囲を制限する制限説をとった(大連判明治41年12月15日。前掲内田431頁)。本問は制限説の立場を論証することになる。

答えは以下のようになろうか。

「第三者とは、当事者とその包括承継人以外の者で登記の欠缺を主張するにつき正当の利益を有する者」(45文字)

Yは、占有権限もないのに甲建物を占有している「不法占拠者」であり、不法占拠者は、登記がないと対抗できない第三者に「あたらない」、というのが本問の素材となった判例(最判昭和25年12月19日。前掲内田432頁)である。