■2010年行政書士試験・民法第9問(相続)

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■失踪宣告と相続(2010−35)【条文、判例知識問題】

Aは、海外出張に出かけたが、帰国予定の日に帰国しないまま長期間が経過した。その間、家族としては関係者および関係機関に問い合わせ、可能な限りの捜索をしたが、生死不明のまま出張から10年以上が経過した。そこで、Aについて、Aの妻Bの請求に基づき家庭裁判所によって失踪宣告がなされた。Aの相続人としては、妻Bおよび子Cの2人がいる場合に関する次のア)−オ)の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア) BがAの出張前にAから誕生日に宝石をプレゼントされていたときは、Aの相続開始とされる時においてAが有していた財産の価額に、その宝石の価額を加えたものを相続財産とみなし、Bの相続分の中からその宝石の価額を控除した残額をもってBの相続分とする。

イ) Aの相続についての限定承認は、BとCが共同してのみ家庭裁判所に申述することができる。

ウ) Aの遺言が存在した場合に、その遺言の効力は、Aの生死が不明になった時から7年の期間が満了した時からその効力を生ずる。

エ) CがAの失踪宣告前にAの無権代理人としてA所有の土地および建物をDに売却した場合に、BがCと共同して追認をしないときでも、当該無権代理行為は有効となる。

オ) Aについて失踪宣告がなされた後にBはD男と婚姻したが、その後、失踪宣告が取り消された場合に、A・B間の婚姻とB・D間の婚姻は、戸籍の上では共に存在することになるが、両者の婚姻は、当然には無効とならず、共に重婚を理由として取り消し得るにすぎない。

1) ア)、イ)
2) ア)、オ)
3) イ)、ウ)
4) ウ)、エ)
5) エ)、オ)

■解説

【難易度】普通。

ア) 誤り。要は本肢の「プレゼントされた宝石」が、特別受益の持戻(民法903条1項)に該当するかであるが、相続人への贈与一般がこれに該当するのではなく「生計の資本」としてなされたものが該当する。本肢の宝石はあくまで誕生日プレゼントであり、生計の資本として贈与されたとは言えないであろう。佐藤他『民法X』第2版補訂(2000年、有斐閣)177頁。

イ) 正しい。923条。

ウ) 正しい。31、985条。

エ) 誤り。無権代理人による本人相続の事案であるが、Aの追認権はCの他Bにも相続されるので、CBが共同で追認しない限り、無権代理行為は有効にならないとするのが判例である(最判平成5年1月21日。信義則説−追認不可分説)。内田貴『民法T』第2版(1999年、東大出版会)155頁以下参照。

オ) 誤り。この点は争いがあるが、BDがAの生きていることにつき善意であれば、前婚は復活せず、後婚のみが残り、BDのどちらか又は共に悪意の場合は、前婚が復活し、重婚状態が生ずる(前婚は離婚原因〔770条1項5号〕、後婚は取消原因〔744条〕となる)とするのがかつての通説である。前掲内田97頁。

よって正解はイ)、ウ)の2つになろう。