■2010年行政書士試験・民法第7問(債権)

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■不当利得、不法原因給付(2010−33)【判例知識問題】

AのBに対する不当利得返還請求等に関する次のア)−オ)の記述のうち、判例に照らし、誤っているものはいくつあるか。

ア) Aは、Bに対する未払い賃料はないことを知りつつ、Bから賃料不払いを理由とした賃貸建物明渡請求訴訟を提起された場合における防禦方法として支払いをなすものであることを特に表示したうえで、Bに弁済を行った。この場合に、Aは、Bに対し、不当利得として給付した弁済額の返還を請求することができる。

イ) Aは、賭博に負けたことによる債務の弁済として、Bに高価な骨董品を引き渡したが、その後、A・B間でBがこの骨董品をAに返還する旨の契約をした。この場合に、Aは、Bに対し、この骨董品の返還を請求することができる。

ウ) Cは、BからB所有の家屋を賃借した際に、CがBに対して権利金を支払わない代わりに、Cが当該家屋の修繕業務を負うこととする旨を合意したため、後日、当該家屋の修繕工事が必要となった際、CはAに対してこれを依頼し、Aが同工事を完了したが、CはAに修繕代金を支払う前に無資力となってしまった。この場合に、Aは、Bに対し不当利得として修繕代金相当額の返還を請求することはできない。

エ) Aは、Bとの愛人関係を維持するために、自己の有する未登記建物をBに贈与し、これを引き渡した。この場合に、Aは、Bに対し、不当利得としてこの建物の返還を請求することができる。

オ) Bは、Cから強迫を受け、同人の言うままに、Aと金銭消費貸借契約を締結し、Aに指示してBとは何らの法律上または事実上の関係のないDに貸付金を交付させたところ、Bが強迫を理由にAとの当該金銭消費貸借契約を取り消した。この場合に、Aは、Bに対し、不当利得として貸付金相当額の返還を請求することができる。

1) 1つ
2) 2つ
3) 3つ
4) 4つ
5) 5つ

■解説

【難易度】やや難。ウ)が特に難解であろう。

ア) 正しい。最判昭和35年5月6日等である。内田貴『民法U』初版(1997年、東大出版会)561頁。

イ) 正しい。給付が不法原因給付であって、給付後給付物を返還するという合意が成立した場合、その効力を認めるのが判例である(最判昭和28年1月22日)。

ウ) 正しい。転用物訴権が問題となる事案である。本肢の事案について最判平成7年9月19日は、Bが法律上の原因なしで修繕工事に要した財産及び労務の提供に相当する利益を受けたということができるのは、BとCとの間の賃貸借契約を全体としてみて、Bが対価関係なしに右利益を受けたときに限られる、としている。そして判例は、権利金を受け取らないということと建物の改修による利益を対価関係があるものとし、「法律上の原因なし」ということを否定している。前掲内田540頁以下参照。

エ) 誤り。本肢の場合、未登記建物は引渡があれば、不法原因給付の「給付」と言えるとするのが判例であり(最大判昭和45年10月21日)、結果Aの返還請求は認められないことになる。前掲内田567頁以下。

オ) 誤り。最判平成10年5月26日は、BD間には事前に何らの法律上又は事実上の関係はなく、Cからの強迫により言われるままにBがDに貸付金を給付しているという状況下では、Aからの不当利得返還請求につき、Bが当該給付につき給付相当額の「利益」(703条の条文注意)を得ているとはいえないとしている。

よって正解は2)の2つとなろう。