■2010年行政書士試験・民法第5問(債権)

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■保証債務(2010−31)【判例、条文知識問題】

保証に関する1)−5)の「相談」のうち、民法の規定および判例に照らし、「可能です」と回答しうるものはどれか。

1) 私は、AがBとの間に締結した土地の売買契約につき、売主であるAの土地引渡等の債務につき保証人となりましたが、このたびBがAの債務不履行を理由として売買契約を解除しました。Bは、私に対して、Aが受領した代金の返還について保証債務を履行せよと主張しています。私が保証債務の履行を拒むことは可能でしょうか。

2) 私は、AがBから金銭の貸付を受けるにあたり、Aに頼まれて物上保証人となることにし、Bのために私の所有する不動産に抵当権を設定しました。このたびAの債務の期限が到来しましたが、最近資金繰りに窮しているAには債務を履行する様子がみられず、抵当権が実行されるのはほぼ確実です。私はAに資力があるうちにあらかじめ求償権を行使しておきたいのですが、これは可能でしょうか。

3) 私の経営する会社甲は、AがBと新たに取引関係を結ぶにあたり、取引開始時から3ヶ月間の取引に関してAがBに対して負う一切の債務を保証することとし、契約書を作成しましたが、特に極度額を定めていませんでした。このたび、この期間内のA・B間の取引によって、私が想定していた以上の債務をAが負うことになり、Bが甲に対して保証債務の履行を求めてきました。甲が保証債務の履行を拒むことは可能でしょうか。

4) 私は、AがB所有のアパートを賃借するにあたりAの保証人となりました。このたびA・B間の契約がAの賃料不払いを理由として解除されたところ、Bは、Aの滞納した賃料だけでなく、Aが立ち退くまでの間に生じた損害の賠償についても保証債務の履行をせよと主張しています。私は保証債務の履行を拒むことは可能でしょうか。

5) 私は、AがBから400万円の貸付を受けるにあたり、Aから依頼されてCと共に保証人となりましたが、その際、私およびCは、Aの債務の全額について責任を負うものとする特約を結びました。このたび、私はBから保証債務の履行を求められて400万円全額を弁済しましたが、私は、Cに対して200万円の求償を請求することが可能でしょうか。

■解説

【難易度】やや難しい。

1) 回答し得ない。この場合、特段の意思表示なき限りAの債務不履行に伴う原状回復義務についても、「私」は、保証人としての責任を負う(最大判昭和40年6月30日)。野村−池田−栗田−永田『民法V』第2版補訂(1999年、有斐閣)150頁。

2) 回答し得ない。委託を受けた保証人に認められる事前の求償権の規定(460条)は、委託を受けた物上保証人に類推適用できない(最判平成2年12月18日)。淡路−鎌田−原田−生熊『民法U』 第2版(2001年、有斐閣)245頁。

3) 回答し得ない。貸金等根保証契約(継続的保証)の事案である。当該契約につき極度額を定めていない根保証契約は無効とされるが(465条の2第2項)、保証人が法人の場合はこの限りではない(465条の2第1項括弧書)ので、法人たる「甲」は保証債務を履行しなければならない。

4) 回答し得ない。「私」は、Aの損害賠償債務についても保証人としての責任を負う(447条1項)。

5) 回答し得る。この場合「私」とCは共同保証人であり、両者ともAの全債務の弁済義務を負っているから(分別の利益がない)、「私」とCは共同保証の内の保証連帯の関係にある。そして「私」はAの債務全額を弁済しているので、連帯債務者相互間と同様な求償権が認められる(465条1項、442−444条)。野村他『民法V』第2版補訂(1999年、有斐閣)164頁。