■2010年行政書士試験・民法第3問(物権)

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■共有(2010−29)【判例、条文知識問題】

A・B・Cの3人が、甲土地、乙土地、丙土地のすべてについて、どれも3分の1ずつの持分権をもって共有している場合の共有物分割に関する次のア)−オ)の記述のうち、民法の規定及び判例に照らし、妥当なものの組合せはどれか。

ア) 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができるから、たとえA・B・Cの間で5年間の共有物分割禁止の契約があった場合でも同契約は無効であり、Aは、BおよびCに対して甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求することができる。

イ) Aが、BおよびCに対して、甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求した場合において、裁判所は、これらを一括して分割の対象としてAが甲土地、Bが乙土地、Cが丙土地というように各土地を単独所有とする分割方法をとることができる。

ウ) Aが、BおよびCに対して、甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求した場合において、裁判所は、乙土地および丙土地については共有関係を解消せず、Aに対してのみAの持分権に相当する甲土地を取得させ、乙土地および丙土地はBとCの共有として残すとする分割方法をとることができる。

エ) Aが、BおよびCに対して、甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求した場合において、裁判所は、Aの申立てがあれば、甲土地、乙土地および丙土地をAの単独所有とし、BおよびCに対してAから各自の持分権の価格を賠償させる方法をとらなければならない。

オ) 甲土地、乙土地および丙土地についてのBおよびCの共有持分権がDに譲渡された場合には、その旨の移転登記がないときでも、Aは、BおよびCに対しては甲土地、乙土地および丙土地の分割を請求することはできない。

1) ア)、イ)
2) ア)、オ)
3) イ)、ウ)
4) ウ)、エ)
5) エ)、オ)

■解説

【難易度】難しい。イ)以下は従前の試験で問われなかった箇所であり、難しかったと思われる。

ア) 誤り。5年間の共有物分割禁止契約は有効である(民法256条1項但書)。

イ) 正しい。共有物が多数の不動産である場合、不動産のそれぞれを単独所有にするという分割方法も認められる(最大判昭和62年4月22日)。内田貴『民法T』第2版(1999年、東大出版会)376頁

ウ) 正しい。本肢の様に、分割請求者の持分の限度で現物を分割、残りを他の共有者の共有にすることも認められる(最大判昭和62年4月22日)。前掲内田376頁。

エ) 誤り。一人が単独所有になり、他の共有者は持分の賠償を受けること(全面的価格賠償)も例外的に許されるとするのが判例であるが(最判平成8年10月31日)、この方法はしなければならない義務的なものではない。前掲内田376頁。

オ) 誤り。Dは、登記を具備していないのでAに対抗できず(177条の第三者にAが該当する)、この場合持分がB、Cにいまだ帰属するという前提で共有物の分割をすべきというのが判例である(最判昭和46年6月18日)。
よって正解は3)になろうか。