■2010年行政書士試験・民法第1問(総則)

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■制限能力者制度(2010−27)【判例、条文知識問題】

AがBに対してA所有の動産を譲渡する旨の意思表示をした場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

1) Aが、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある場合、Aは当然に成年被後見人であるから、制限行為能力者であることを理由として当該意思表示に基づく譲渡契約を取り消すことができる。

2) Aが、被保佐人であり、当該意思表示に基づく譲渡契約の締結につき保佐人の同意を得ていない場合、Aおよび保佐人は常に譲渡契約を取り消すことができる。

3) この動産が骨董品であり、Aが、鑑定人の故意に行った虚偽の鑑定結果に騙された結果、Bに対して時価よりも相当程度安価で当該動産を譲渡するという意思表示をした場合、Bがこの事情を知っているか否かにかかわらず、Aは当該意思表示を取り消すことができない。

4) Aが、高額な動産を妻に内緒で購入したことをとがめられたため、その場を取り繕うために、その場にたまたま居合わせたAを引き合いに出し、世話になっているBに贈与するつもりで購入したものだと言って、贈与するつもりがないのに「差し上げます」と引き渡した場合、当該意思表示は原則として有効である。

5) Aが、差押えを免れるためにBと謀って動産をBに譲渡したことにしていたところ、Bが事情を知らないCに売却した場合、Cに過失があるときには、Aは、Cに対してA・B間の譲渡契約の無効を主張できる。

■解説

【難易度】易しい。10年の民法は難易度が高かったので、本問の様な易しい問題は取りこぼさないようにすべきであったであろう。民法改正に伴う補足事項がある(外部ブログ)。

1) 誤り。「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況」にあり、後見開始の審判を受けた者が、成年被後見人と扱われる(民法8条)。事理弁識能力欠如が常況であることをもって、当然に成年被後見人になるわけではない。

2) 誤り。当該譲渡契約が「日常生活に関する行為」に該当するものであれば、保佐人の同意なくとも被保佐人は、単独で完全かつ有効な法律行為をなし得る(13条1項本文但書、9条但書)。

3) 誤り。第三者による詐欺である。この場合、鑑定人による欺罔行為につきBが悪意であれば、AはBへの譲渡契約を取消し得る(96条2項)。

4) 正しい。心裡留保の典型例である(93条本文)。

5) 誤り。虚偽表示(94条1項)の事案であるが、虚偽表示の無効を対抗できない「第三者」(94条2項)は、善意、無過失を具備する必要があるという説もあるが(有力説)、通説、判例は条文通り善意のみで足りるとしているので、善意、有過失のCに対しAは虚偽表示の無効を対抗できない。山田−河内−安永−松久『民法T』第3版補訂(2007年、有斐閣)126−127頁。