■2010年行政書士試験・行政救済法第5問

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■取消判決の効力(2010−18)【理論問題】

不利益処分の取消訴訟において原告勝訴判決(取消判決)が確定した場合に、当該判決について生ずる効力に関する次のア)−エ)の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア) 処分をした行政庁は、判決確定の後、判決の拘束力により、訴訟で争われた不利益処分を職権で取り消さなければならない。

イ) 判決後に新たな処分理由が発生した場合、処分をした行政庁は、これを根拠として、判決の拘束力と関わりなく、原告に対しより厳しい内容の不利益処分を行うことができる。

ウ) 不利益処分をした処分庁が地方公共団体に所属する場合、不利益処分にかかわった関係行政庁のうち国に所属する行政庁には、判決の拘束力は及ばない。

エ) 判決の拘束力が生じるのは主文に限られず、主文に含まれる判断を導くために不可欠な理由中の判断についても及ぶ。

1) ア)、イ)
2) ア)、ウ)
3) イ)、ウ)
4) イ)、エ)
5) ウ)、エ)

■解説

【難易度】難しい。この箇所は行政事件訴訟法の理解もさることながら、民事訴訟法の理解も必要になるので、実際きちんと理解しようとするとかなり難しいであろうか。

ア) 誤り。拘束力ではなく、取消判決に付随する形成力により、処分はもとからなかったことになる、という説明が正しいであろうか。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)191頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)311頁。

イ) 正しい。「同一事情の下では同一理由に基づく同一内容の処分をすることができない」というのが拘束力に含まれる反復禁止効の内容だからである。つまり、「同一事情でも同一理由でなければ同一内容の処分を行うことができる」(ある理由で行政処分が違法とされても、他の理由で処分できる場合、これを認めることが法律による行政の原理に合致する)のである。前掲塩野200頁以下参照、櫻井他313頁。

ウ) 誤り。「処分又は裁決を取り消す判決は、その事件について、処分又は裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する」(行政事件訴訟法33条1項)のであり、国、地方公共団体ということを問わず、関係行政庁は拘束されるのである。

エ) 正しい。イ)で説明した拘束力、反復禁止効は判決で確定された具体的違法事由にもかかる(最判平成4年4月28日)。前掲櫻井他313頁。

よって正解は4)となろう。