■2010年行政書士試験・行政法総論第2問

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■通達(2010−9)【理論問題】

通達に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1) 通達は、法律の根拠なく発令・改廃することができるが、それに際しては、官報による公示や関係機関の事務所における備付けその他適当な方法により国民に対して公にしなければならない。

2) 通達は、国民の法的地位に影響を与えるものではないが、特段の理由もなく通達に反する処分については、平等原則に違反するものとして、相手方たる国民との関係においても違法とされる余地がある。

3) 通達は、国民の法的地位に影響を与えるものではないから、その発令・改廃行為は、行政事件訴訟法3条1項の「公権力の行使」および国家賠償法1条1項の「公権力の行使」にはあたらない。

4) 通達によって示された法令解釈の違法性が訴訟において問題となったとき、裁判所は、行政庁の第一次的判断権の尊重の原則により、それが重大明白に誤りでない限り、当該通達で示された法令解釈に拘束される。

5) 通達は、上級行政機関が下級行政機関に対して発するものであり、上司たる公務員が部下である公務員に発する職務命令と別のものであるから、通達に反する行為を行ったことと当該行為を行った公務員の職務上の義務違反との間には、直接の関係はない。

■解説

【難易度】易しい。

1) 誤り。法律の根拠なく、通達は発令、改廃できるがそれにつき公示は不要である。通達は、一般国民を拘束する外部的な規範ではないからである。芝池義一『行政法総論講義』第4版(2001年、有斐閣)119頁参照。

2) 正しい。塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)105頁以下参照。

3) 誤り。行政事件訴訟法についての記述は正しいが(最判昭和43年12月24日。塩野宏『行政法U』第6版〔2019年、有斐閣〕108頁)、判例は、国家賠償法1条の「公権力の行使」について広義説を採用しているので、通達の発令、改廃行為も「公権力の行使」に含まれることになろう。

4) 誤り。頻出の肢である(パチンコ球遊器事件〔最判昭和33年3月28日〕)。行政措置の違法判断において通達は基準とならず、裁判所は、通達による法令解釈とは関係なく自己の法令解釈をなし得る。前掲芝池100頁。

5) 誤り。通達と職務命令が別物という説明は正しいが、通達違反行為については懲戒権の行使が認められているので、通達違反行為と職務義務違反に直接の関係はないとは言えない。前掲芝池99頁以下参照。