■2011年行政書士試験・法令科目多肢選択式第1問

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■パブリック・スピーチ(2011−41)【判例問題】

次の文章の空欄(ア)−(エ)に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1−20)から選びなさい。

ある主張や意見を社会に伝達する自由を保障する場合に、その表現の(ア)を確保することが重要な意味をもっている。特に表現の自由の行使が行動を伴うときには表現の(ア)が必要となってくる。表現の(ア)が提供されないときには、多くの意見は受け手に伝達することができないといってもよい。(イ)が自由に出入りできる(ア)は、それぞれその本来の利用目的を備えているが、それは同時に表現の(ア)として役立つことが少なくない。道路、公園、広場などは、その例である。これを(ウ)と呼ぶことができよう。この(ウ)が表現の(ア)として用いられるときには、(エ)に基づく制約を受けざるをえないとしても、その機能にかんがみ、表現の自由の保障を可能な限り配慮する必要があると考えられる。

もとより、道路のような公共用物と、(イ)が自由に出入りすることのできる(ア)とはいえ、私的な(エ)に服するところとは、性質に差異があり、同一に論ずることはできない。しかし、後者にあっても、(ウ)たる性質を帯有するときには、表現の自由の保障を無視することができないのであり、その場合には、それぞれの具体的状況に応じて、表現の自由と(エ)とをどのように調整するかを判断すべきこととなり、前述の較量の結果、表現行為を規制することが表現の自由の保障に照らして是認できないとされる場合がありうるのである。
(最三小判昭和59年12月18日刑集38巻12号3026頁以下に付された伊藤正己裁判官の補足意見をもとに作成した)

1) 手段 2) とらわれの聴衆 3) ガバメント・スピーチ 4) 時間 5) 一般公衆 6) プライバシー 7) 公共の福祉 8) 敵対的聴衆 9) フェア・コメント 10) デモ参加者 11) パブリック・フォーラム 12) 内容 13) 警察官 14) 思想の自由市場  15) 方法論 16) 管理権 17) 権力関係 18) 社会的権力 19) 場 20) 現実的悪意の法理

■解説

【難易度】やや難しい。

ア) 19)「場」。「(イ)が自由に出入りできる(ア場)は」というあたりの記述から、日本語的に判断できようか。

イ) 5)「一般公衆」。「(イ)が自由に出入りできる(ア場)−中略−道路、公園、広場などは、その例である」、という記述から判断することになろう。なお、ここに10)「デモ参加者」は入らない。けだし、「一般公衆」が出入りできる場所であるが故に、これら場所は(ウ)たる性質を帯びる、という構成がその後にできなくなるからである。

ウ) 11)「パブリック・フォーラム」。おそらく伊藤正巳のパブリック・フォーラム論は初出題であろう。元はアメリカ判例法上の理論で、1.街路といった「最も純粋な公共の広場」、2.公会堂といった「限定された広場」のような場所(広場:forum)でおこなわれる表現活動については、より厳格な合憲性審査が必要とされる、というものである。芦部信喜『憲法学V』(1998年、有斐閣)443頁以下。

エ) 16)「管理権」。伊藤正巳による、本件へのパブリック・フォーラム論の導入には異論もある。本件は私鉄駅構内でのビラ配りが問題となっているが、元のパブリック・フォーラム論では、私的な管理権に服する場所は「ノンパブリック・フォーラム」として扱われるからである。前掲芦部446頁。なお本件の伊藤意見への評価として、前掲芦部446−447頁。

なお14)「思想の自由市場」とは、「真理は思想・情報の自由な交換から生まれる」(前掲芦部253頁)と考える立場で、これは、表現の自由を支える自己実現と自己統治の前提条件として考えられているものである(前掲芦部254頁参照)。
また20)「現実的悪意の法理」とは、公務員に対する名誉毀損的表現については、その表現が現実的悪意をもってなされたかを公務員が立証しなければならないとする、アメリカ判例法上の理論である。前掲芦部353−354頁。