■2011年行政書士試験・民法第6問(債権)

行政書士合格講座2011年行政書士試験の問題解説>2011年行政書士試験・民法第6問(債権)

このサイトについて・プライバシーポリシー 憲法学の窓・公務員試験対策室 Site Map

■契約総合(2011−32)【判例問題】

契約類型に応じた契約解除の相違に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当でないものはどれか。

1) 贈与契約において、受贈者が、受贈の見返りとして贈与者を扶養する義務を負担していたにもかかわらず、この扶養する義務の履行を怠る場合には、贈与者は、贈与契約を解除することができる。

2) 売買契約において買主から売主に解約手付が交付された場合に、売主が売買の目的物である土地の移転登記手続等の自己の履行に着手したときは、売主は、まだ履行に着手していない買主に対しても、手付倍返しによる解除を主張することはできない。

3) 賃貸借契約において、賃借人の賃借物に対する使用方法が著しく信頼関係を破壊するものである場合には、賃貸人は、催告を要せずにただちに契約を解除することができる。

4) 委任契約において、その契約が受任者の利益のためにもなされた場合であっても、受任者が著しく不誠実な行動に出た等のやむを得ない事情があるときはもちろん、また、そのような事情がないときでも、委任者が解除権自体を放棄したとは解されないときは、委任者は、自己の利益のためになお解除権を行使することができる。

5) 建物の工事請負契約において、工事全体が未完成の間に注文者が請負人の債務不履行を理由に契約を解除する場合には、工事内容が可分であり、しかも当事者が既施工部分の給付に関し利益を有するときは、既施工部分については契約を解除することができず、未施工部分について契約の一部解除をすることができるにすぎない。

■解説

【難易度】普通。民法改正に伴う補足事項がある(外部ブログ)。

1) 正しい。忘恩行為が問題となる事案であるが、判例は、贈与の見返りとしての扶養義務という負担の不履行を理由に、贈与契約の解除を認めた(最判昭和53年2月17日。但し判例は忘恩行為構成ではなく、負担付贈与構成をとり、553条が準用する541条による解除を認めた)。藤岡−磯村−浦河−松本他『民法W』第3版補訂(2009年、有斐閣)58頁。

2) 誤り。よってこれが正解である。民法557条は、「当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる」と規定するが、ここでの問題は着手した側が、未だ着手していない側に向かって解除できるかである。判例はこの点肯定的判断をしている(最大判昭和40年11月24日)。前掲藤岡他70頁。

3) 正しい。信頼関係法理である。最判28年9月25日、前掲藤岡他129頁。

4) 正しい。委任事務が「受任者の利益のためにもなされた場合」、651条による解除を認めないのが判例であるが(大判大正9年4月24日)、ここでいう「やむを得ない事情があるとき」や委任者が解除権を放棄したとまでの状況がない場合、同条による解除が認められる(最判昭和43年9月20日、最判昭和56年1月19日)としている。前掲藤岡他188−189頁。

5) 正しい。大判昭和7年4月30日である。