■2011年行政書士試験・民法第4問(物権)

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■法定地上権(2011−30)【判例問題】

法定地上権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

1) Aは、自己所有の土地(更地)に抵当権を設定した後に、その土地上に建物を建築したが、抵当権の被担保債権について弁済をすることができなかった。この場合において、抵当権者が抵当権を実行して土地を競売すると、この建物のために法定地上権は成立せず建物は収去されなければならなくなることから、抵当権者は、土地とその上の建物を一括して競売しなければならない。

2) AがBから土地を借りてその土地上に建物を所有している場合において、Bは、その土地上に甲抵当権を設定したが、Aから建物を取得した後に、さらにその土地に乙抵当権を設定した。その後、Bは、甲抵当権の被担保債権について弁済したので甲抵当権は消滅したが、乙抵当権の被担保債権については弁済できなかったので、乙抵当権が実行され、その土地は買受人Cが取得した。この場合、この建物のために法定地上権は成立しない。

3) AがBから土地を借りてその土地上に建物を所有している場合において、Aは、その建物上に甲抵当権を設定したが、Bから土地を取得した後に、さらにその建物に乙抵当権を設定した。その後、Aは、甲抵当権の被担保債権について弁済できなかったので、甲抵当権が実行され、その建物は買受人Cが取得した。この場合、この建物のために法定地上権は成立しない。

4) Aが自己所有の土地と建物に共同抵当権を設定した後、建物が滅失したため、新たに建物を再築した場合において、Aが抵当権の被担保債権について弁済することができなかったので、土地についての抵当権が実行され、その土地は買受人Bが取得した。この場合、再築の時点での土地の抵当権が再築建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けたなどの特段の事由のない限り、再築建物のために法定地上権は成立しない。

5) AとBが建物を共同で所有し、Aがその建物の敷地を単独で所有している場合において、Aがその土地上に抵当権を設定したが、抵当権の被担保債権について弁済できなかったので、その抵当権が実行され、その土地は買受人Cが取得した。この場合、この建物のために法定地上権は成立しない。

■解説

【難易度】難しい。

1) 誤り。抵当権設定当事に、土地上に建物が存在しない(388条参照)のでこの場合法定地上権は成立しない。但し一括競売はしなければならないものではない。あくまで「抵当権の設定後に抵当地に建物が築造されたときは、抵当権者は、土地とともにその建物を競売することができる」(389条1項)のである。

2) 誤り。法定地上権成立の要件の1つとして、抵当権設定時に土地と建物が同一人の所有であったことが要求されているが、先順位の甲抵当権設定時にはこの要件が具備されず、乙抵当権設定時には具備されていた場合、法定地上権は成立するか。この場合成立を認めるのが判例である(最判平成19年7月6日)。

3) 誤り。法定地上権成立の要件として、設定時土地建物が同一の所有に属していた、というものがあるが、本肢の様に1番抵当権の段階ではこの要件を具備せず、2番抵当権の段階でこの要件を具備するにいたり、1番抵当権者の申立による競売が行われた場合でも、法定地上権は成立する。前掲淡路他272頁。

4) 正しい。最判平成9年2月14日。淡路−鎌田−原田−生熊『民法U』第2版(2001年、有斐閣)269頁、内田貴『民法V』初版(1996年、東大出版会)381頁、

5) 誤り。この場合Aは、Bのためにも自己の土地の利用を認めているとして、土地に法定地上権が成立するとしている(最判昭和46年12月21日)。前掲内田386頁。