■2011年行政書士試験・民法第3問(物権)

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■即時取得(2011−29)【判例問題】

A所有のカメラをBが処分権限なしに占有していたところ、CがBに所有権があると誤信し、かつ、そのように信じたことに過失なくBから同カメラを買い受けた。この場合に関する次のア)−エ)の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものをすべて挙げた組合せはどれか。

ア) CがAのカメラを即時取得するのは、Bの占有に公信力が認められるからであり、その結果、Bがカメラの所有者であったとして扱われるので、Cの所有権はBから承継取得したものである。

イ) Cは、カメラの占有を平穏、公然、善意、無過失で始めたときにカメラの所有権を即時取得するが、その要件としての平穏、公然、善意は推定されるのに対して、無過失は推定されないので、Cは無過失の占有であることを自ら立証しなければならない。

ウ) Bは、Cにカメラを売却し、以後Cのために占有する旨の意思表示をし、引き続きカメラを所持していた場合、Cは、一応即時取得によりカメラの所有権を取得するが、現実の引渡しを受けるまでは、その所有権の取得は確定的ではなく、後に現実の引渡しを受けることによって確定的に所有権を取得する。

エ) Bは、Cにカメラを売却する前にカメラをDに寄託していたが、その後、BがCにカメラを売却するに際し、Dに対して以後Cのためにカメラを占有することを命じ、Cがこれを承諾したときは、たとえDがこれを承諾しなくても、Cは即時取得によりカメラの所有権を取得する。

1) ア)、イ)
2) ア)、イ)、ウ)
3) ア)、ウ)、エ)
4) イ)、ウ)、エ)
5) ウ)、エ)

■解説

【難易度】難しい。

ア) 誤り。即時取得による権利取得は原始取得である。淡路−鎌田−原田−生熊『民法U』第2版(2001年、有斐閣)98頁。

イ) 誤り。平穏、公然、善意は186条1項により推定される。また、無過失については、188条によって推定されるとするのが判例である(最判昭和41年6月9日)。前掲淡路他92頁。

ウ) 誤り。占有改定による即時取得(183条)については、肯定説、否定説、折衷説があるが、判例は本肢のような折衷説をとらず、否定説をとる(大判大正5年5月16日)。前掲淡路他93頁以下。

エ) 正しい。指図による占有移転(184条)については、占有改定と異なり即時取得の成立を認めるのが判例である(最判昭和57年9月7日)。前掲淡路他96頁。
よって正解は2)になろう。