■2011年行政書士試験・民法第2問(総則)

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■時効(2011−28)【判例問題】

時効等に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

1) A所有の甲土地につき、20年間占有を継続してきたBが取得時効を援用した場合、取得時効の成立を否定するためには、Aの側において、他主占有事情の立証では足りず、Bの占有が賃貸借など他主占有権原に基づいて開始された旨を立証しなければならない。

2) A所有の乙土地につき、Bが5年間占有した後にCがこれを相続して、さらに10年間占有を継続した時点において、CがBの占有と併合して取得時効を援用した場合、C自身が占有開始時に悪意であったときは、Bが占有開始時に善意であり、かつ無過失であったとしても時効取得は認められない。

3) Aから丙土地を購入したBが、その引渡しを受けてから10年以上が経過した後に隠れた瑕疵を発見し、Aに対して瑕疵担保責任に基づく損害賠償を請求した場合、Aは消滅時効を援用してこれを拒むことができる。

4) Aから甲建物を購入したBが、同建物の隠れた瑕疵を理由としてAに対して損害賠償を請求する場合には、瑕疵を発見してから1年以内にAに対して瑕疵の内容を具体的に明示しなくても、その存在を通知すれば、同請求権は時効により消滅することはない。

5) 乙建物について先順位抵当権者Aの被担保債権につき消滅時効が完成した場合、かかる債権の消滅により後順位抵当権者Bは順位上昇の利益を享受することができるため、Bもその時効を援用することができる。

■解説

【難易度】難しい。民法改正に伴う補足事項がある(外部ブログ)。

1) 誤り。自主占有については推定されるので(186条1項)、それを破ろうとする側に他主占有であることの立証責任がある。但しこれについては、他主占有事情の立証か、Bの占有開始が他主占有権原に基づいて開始されたこと、どちらかを立証すれば良いと解されている(最判昭和58年3月24日)。山田−河内−安永−松久『民法T』第3版補訂(2007年、有斐閣)1248頁。

2) 誤り。187条の問題である。A(善意)→B→Cと占有が承継され、B又はCが悪意の場合、CがA−Cの占有の併合を主張した場合、併合された場合は善意占有か、悪意占有か。これにつき判例は、善意占有と扱っている(最判昭和53年3月6日)。この事案では、Bの5年とCの5年の占有で10年の取得時効の成立をCは主張できる。前掲山田他251頁。

3) 正しい。この場合の瑕疵担保責任の追及は、瑕疵を知った時から1年以内にしなければならないが(570条、566条3項)、瑕疵を知らないでいた場合でも、目的物の引渡しから10年経過すれば時効で消滅する(167条1項、最判平成13年11月27日)。藤岡−磯村−浦河−松本『民法W』第3版補訂(2009年、有斐閣)80頁。

4) 誤り。この場合、具体的な瑕疵の内容とそれにつき損害賠償請求する旨を表明し、売主の担保責任を問う意思を明確に告げる必要があるとするのが判例である(最判平成4年10月20日)。前掲藤岡他52頁。

5) 誤り。後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用できないというのが判例である(最判平成11年10月21日)。前掲山田他228頁。