■2011年行政書士試験・憲法第4問

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■議員定数不均衡訴訟(2011−7)【理論問題】

次の文章は、衆議院議員選挙の効力を争った、ある高等裁判所判決の一節である。当時の公職選挙法別表に定められた選挙区への定数配分については、先の総選挙に関し、最高裁判所が、客観的には違憲状態であるが、なお選挙時には改正に必要な合理的期間を徒過していなかったことを理由に、合憲判断を下していた。高裁判決では、こうした状態の下で解散総選挙が行われた事案に関して、憲法判断が求められている。そこで扱われた問題を論じた文章として、妥当なものはどれか。

被告は、本件選挙は内閣の衆議院解散権の行使によるものであるところ、このような選挙については、投票価値の較差を是正したうえでこれを行うかどうかは立法政策の問題である旨主張する。

本件選挙が内閣の衆議院解散権の行使に基づくものであることは公知の事実であるが、前記の較差是正を行うべき合理的期間は、選挙権の平等を害するような較差を生ぜしめる議員定数配分規定がその間において改正されることを合理的に期待しうるに足る期間なのであるから、右期間が経過した以上、右規定は憲法に違反するものといわざるをえないのであり、右期間経過後に行われる選挙の効力については、それが内閣の解散権の行使によるものであつても、法律上他の事由に基づく選挙と異なつた取扱いをすべき理由はない。その結果として内閣の解散権が事実上制約されることが起こりうるとしても、それは事柄の性質上やむをえないことであり、以上とは逆に、内閣の解散権を確保するために違憲の選挙法規の効力をあえて承認するような法解釈をとることは、本末を転倒するものとのそしりを免れないであろう。
(東京高判昭和59年10月19日行集35巻10号1693頁以下)

1) この判決は、内閣の解散権行使の前提として、衆議院での内閣不信任決議案の可決が必要的だ、という立場にたっている。

2) 内閣の解散権行使の結果行われた総選挙について、その無効を争う選挙訴訟は三審制であって、本件は控訴審判決である。

3) この判決は、政治上の必要があれば、本件のような事案で内閣が解散権を行使しても総選挙は適法だ、という立場にたっている。

4) 本件訴訟は、公職選挙法の定める選挙訴訟として行われているので、いわゆる機関訴訟の1形態と位置づけられるものである。

5) この判決は、現時点ではすでに改正に必要な合理的期間を徒過しており、判例によれば当該議員定数配分規定は違憲だ、という立場にたっている。

■解説

【難易度】普通。

1) 誤り。判決文中に問題となった選挙が「内閣の衆議院解散権の行使によるもの」との言及はあるが、衆議院による内閣不信任決議についての言及はない。

2) 誤り。選挙訴訟は第1審が高等裁判所になる(公職選挙法204条)。

3) 誤り。むしろ逆であろう。「政治上の必要」があり、その結果内閣による衆議院の解散があったとしても、そのことよりも「違憲の選挙法規の効力をあえて承認するような法解釈をとることは、本末を転倒するもの」と批判しているのが本件判決である。

4) 誤り。選挙訴訟は民衆訴訟(行政事件訴訟法5条)に該当する。

5) 正しい。「右期間が経過した以上、右規定は憲法に違反するものといわざるをえ」ず、「違憲の選挙法規の効力をあえて承認するような法解釈をとることは、本末を転倒するものとのそしりを免れない」と述べているからである。