■2011年行政書士試験・憲法第4問

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■全国民の代表(2011−6)【理論問題】

憲法43条1項は、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する」、と定める。この「全国民の代表」に関わる次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) これと同様の定式は近代憲法に広く見られ、大日本帝国憲法でも採用されている。

2) この定式は、近代の国民代表議会の成立に伴い、国民とその代表者との政治的意思の一致を法的に確保する目的で、命令委任の制度とともに導入されたものである。

3) 政党は国民の中の一党派であり、全国民を代表するものではないため、議員が政党の党議拘束に服することは、憲法上許されないものとされている。

4) 議員は議会で自己の信念のみに基づいて発言・表決すべきであり、選挙区など特定の選出母体の訓令に法的に拘束されない、との原則は、自由委任の原則と呼ばれる。

5) 選挙は現代では政党間の選択としての意味を持つため、現行法上、議員は所属政党から離脱した時は自動的に議員としての資格を失うものとされている。

■解説

【難易度】易しい。

1) 誤り。43条1項は、近代前における身分制議会の構成員のように、選挙母体の訓令に拘束されこれを守らないと召還される命令委任を否定したものであるが、このような趣旨を有する規定は旧憲法には見られない。なお「近代憲法に広く見られ」という記述は正しい。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)283頁。

2) 誤り。43条は先に述べた命令委任を「否定」するものである。なお命令委任を否定した自由委任の原則の下では、国民とその代表者との間に実際に一致の関係があるか否かは問題とされてこなかった(政治的代表)。前掲芦部283頁。

3) 誤り。議員は党の決定に従い行動することで、全国民の代表者としての資格を発揮できると解されており、43条との関係で党議拘束が憲法上許されないとは解されていない。前掲芦部283−284頁。

4) 正しい。その通りである。

5) 誤り。このような制度は、国会議員の要件として政党所属を要求するものであり、議員を全国民の代表ではなく政党の代表としてしまう点で違憲の疑いが強いと解される。なお衆参の比例代表選出議員が、当選後「所属政党を変更」した場合については、国会法109条の2、公職選挙法99条の2。前掲芦部283−284頁。