■2011年行政書士試験・行政救済法第6問

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■国家賠償法2条(2011−19)【理論問題】

国家賠償法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1) 国家賠償法2条にいう「公の営造物」は、民法717条の「土地の工作物」を国家賠償の文脈において表現したものであるから、両者は同じ意味であり、動産はここに含まれないと解されている。

2) 国家賠償法2条は、無過失責任を定めたものであるが、無過失責任と結果責任とは異なるので、不可抗力ないし損害の回避可能性のない場合については、損害賠償責任を負うものとは解されない。

3) 外国人が被害者である場合、国家賠償法が、同法につき相互の保証があるときに限り適用されるとしているのは、公権力の行使に関する1条の責任についてのみであるから、2条の責任については、相互の保証がなくとも、被害者である外国人に対して国家賠償責任が生じる。

4) 国家賠償法2条が定める公の営造物の設置又は管理の瑕疵について、設置又は管理に当る者(設置管理者)とその費用を負担する者(費用負担者)とが異なるときは、費用負担者は、設置管理者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときに限り、被害者に対する損害賠償責任を負う。

5) 国家賠償法2条は、無過失責任を定めたものであるから、公の営造物の設置又は管理の瑕疵の判断にあたっての考慮要素は、事件当時における当該公の営造物の客観的状態に限られる。

■解説

【難易度】易しい。

1) 誤り。「公の営造物」には動産も含まれる。過去頻出の肢である。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)357頁。

2) 正しい。最判昭和50年7月25日、最判昭和50年6月26日。前掲塩野359−360頁。

3) 誤り。相互保証について定める国家賠償法6条は、「この法律は、外人が被害者である場合には、相互の保証があるときに限り、これを適用する」と規定している。よって2条の場合にも相互保証主義がはたらく。

4) 誤り。費用負担者の免責規定はない。この場合設置管理者、費用負担者ともに2条責任を負い、求償関係で賠償後の処理を行うことになる(3条)。

5) 誤り。問題文2)でもふれられているように、国家賠償法2条は結果責任を定めるものではない。これは「瑕疵を判定するについて、その物の客観的状態以外の要素をも考慮することがあるということである」。ではどんな要素をも考慮するかといえば、管理者の対応である。前掲塩野363頁。2)で「損害の回避可能性」という言葉が出てくるが、厳密には、瑕疵の判断において「管理者による損害の回避可能性」が検討される、と解されている。