■2011年行政書士試験・行政救済法第5問

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■実質的当事者訴訟(2011−18)【理論問題】

実質的当事者訴訟に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1) 実質的当事者訴訟は、行政主体と一般市民との間における対等当事者としての法律関係に関する訴訟のうち、公法上の法律関係に関する訴訟であり、私法上の法律関係に関する訴訟は民事訴訟となる。

2) 個別法の中に損失補償に関する規定がない場合であっても、憲法に直接基づいて損失補償を請求することが可能だと解されているが、この損失補償請求の訴訟は実質的当事者訴訟に該当する。

3) 国に対して日本国籍を有することの確認を求める訴えを提起する場合、この確認の訴えは実質的当事者訴訟に該当する。

4) 実質的当事者訴訟における原告勝訴の判決は、その事件について、被告だけでなく、関係行政機関をも拘束する。

5) 実質的当事者訴訟の対象となる行政活動については、他の法律に特別の定めがある場合を除いて、民事保全法に規定する仮処分をすることができない。

■解説

【難易度】難しい。

1) 正しい。当事者訴訟(行政事件訴訟法4条)は、通常の民事訴訟と同じ類型の訴訟であるが、訴訟物が公法上のものである点で異なるに過ぎない。田中二郎『新版行政法上巻』全訂第2版(1974年、弘文堂)310頁。

2) 正しい。憲法に直接基づいた損失補償請求の可否については、最大判昭和43年11月27日。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)383−384頁。頻出の項目である。また後半部分については、前掲田中311頁括弧内。

3) 正しい。最判平成9年10月17日。前掲塩野274頁以下。

4) 正しい。41条1項、33条1項。

5) 誤り。これが正解であろう。抗告訴訟は、「行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟」(3条1項)であるので、「民事保全法に規定する仮処分をすることができない」(44条)が、実質的当事者訴訟は通常の民事訴訟と同じ類型なので、44条の拘束を免れる、と解せようか。前掲田中310頁。