■2012年行政書士試験・民法第2問(総則)

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■代理人と使者(2012−28)【条文知識、理論問題】

代理人と使者の違いに関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

1) 代理人は本人のために法律行為を行う者であるから、代理人としての地位は、法律に基づくもののほかは必ず委任契約によらなければならないが、使者は本人の完了した意思決定を相手方に伝達する者であるから、使者の地位は、雇用契約、請負契約など多様な契約に基づく。

2) 代理人は、本人のために法律行為を行う者であるから、代理権の授与のときに意思能力および行為能力を有することが必要であるのに対し、使者は、本人の完了した意思決定を相手方に伝達する者であるから、その選任のときに意思能力および行為能力を有することは必要ではない。

3) 代理人は本人のために自ら法律行為を行うのであるから、代理行為の瑕疵は、代理人について決するが、使者は本人の行う法律行為を完成させるために本人の完了した意思決定を相手方に伝達するにすぎないから、当該意思表示の瑕疵は、本人について決する。

4) 代理人は、与えられた権限の範囲で本人のために法律行為を行うのであるから、権限を逸脱して法律行為を行った場合には、それが有効となる余地はないのに対し、使者は、本人の完了した意思決定を相手方に伝達するのであるから、本人の真意と異なる意思を伝達した場合であってもその意思表示が無効となる余地はない。

5) 代理人は、法律または本人の意思に基づいて本人のために法律行為を行う者であるから、本人に無断で復代理人を選任することは認められないのに対し、使者は、単に本人の完了した意思決定を相手方に伝達するにすぎないから、本人に無断で別の者を使者に選任することも認められる。

■解説

【難易度】易しい。大問1つを使った出題が過去あったか記憶にはないが、代理人と使者の違いについては過去も出題されている。民法改正に伴う補足事項がある(外部ブログ)。

1) 誤り。代理人としての地位は委任契約ばかりでなく、請負や雇用によっても発生する。山田−河内−安永−松久『民法T』第3版補訂(2007年、有斐閣)164−165頁。

2) 誤り。頻出の肢である。代理人に行為能力は不要である(102条)。使者についての説明は正しい。前掲山田他161頁。

3) 正しい。101条参照。前掲山田他161頁。

4) 誤り。代理人による権限逸脱の場合、表見代理の成立(110条)や本人の追認(116条)により代理行為が有効になる場合もある。一方使者が本人の完了した意思表示と異なる意思表示を相手方に伝えた場合は、本人の錯誤(95条)と処理されるので、この場合意思表示が無効となる余地がないというのは誤りである。前掲山田他161頁。

5) 誤り。任意代理の場合、本人の許諾がある場合かやむを得ない事由がなければ復代理人を選任できないが(104条)、法定代理の場合は自由に選任できる(106条)。前掲山田他167−168頁。