■2012年行政書士試験・行政手続法第3問

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■行政手続法(2012−13)【判例問題】

行政手続に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、誤っているものはどれか。

1) 行政手続は刑事手続とその性質においておのずから差異があることから、常に必ず行政処分の相手方等に事前の告知、弁解、防御の機会を与えるなどの一定の手続を設けることを必要とするものではない。

2) 公害健康被害補償法(公害健康被害の補償に関する法律)に基づく水俣病患者認定申請を受けた処分庁は、早期の処分を期待していた申請者が手続の遅延による不安感や焦燥感によって内心の静穏な感情を害されるとしても、このような結果を回避すべき条理上の作為義務を負うものではない。

3) 一般旅客自動車運送事業の免許拒否処分につき、公聴会審理において申請者に主張立証の機会が十分に与えられなかったとしても、運輸審議会(当時)の認定判断を左右するに足る資料等が追加提出される可能性がなかった場合には、当該拒否処分の取消事由とはならない。

4) 国税犯則取締法上、収税官吏が犯則嫌疑者に対し質問する際に拒否権の告知は義務付けられていないが、供述拒否権を保障する憲法の規定はその告知を義務付けるものではないから、国税犯則取締法上の質問手続は憲法に違反しない。

5) 教育委員会の秘密会で為された免職処分議決について、免職処分の審議を秘密会で行う旨の議決に公開原則違反の瑕疵があるとしても、当該瑕疵は実質的に軽微なものであるから、免職処分の議決を取り消すべき事由には当たらない。

■解説

【難易度】難しい。

1) 正しい。成田新法事件(最判平成4年7月1日)である。塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)274頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)22頁。

2) 誤り。水俣病認定遅延慰謝料請求事件(最判平成3年4月26日)である。判例はここに言う「条理上の作為義務」が生じることを認めている。塩野宏『行政法U』第4版(2005年、有斐閣)279頁、前掲櫻井他379頁。

3) 正しい。群馬中央バス事件(最判昭和50年5月29日)である。塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)320頁、前掲櫻井他209頁。

4) 正しい。最判昭和59年3月27日である。

5) 正しい。旭丘中学事件(最判昭和49年12月10日)である。前掲塩野165頁。