■2012年行政書士試験・行政救済法第5問

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■行政事件訴訟法(2012−18)【判例問題】

行政事件訴訟法3条2項の「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」(以下「行政処分」という。)に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、妥当なものはどれか。

1) 医療法の規定に基づき都道府県知事が行う病院開設中止の勧告は、行政処分に該当しない。

2) 地方公共団体が営む簡易水道事業につき、水道料金の改定を内容とする条例の制定行為は、行政処分に該当する。

3) 都市計画法の規定に基づき都道府県知事が行う用途地域の指定は、行政処分に該当する。

4) (旧)関税定率法の規定に基づき税関長が行う「輸入禁制品に該当する貨物と認めるのに相当の理由がある」旨の通知は、行政処分に該当しない。

5) 地方公共団体の設置する保育所について、その廃止を定める条例の制定行為は、行政処分に該当する。

■解説

【難易度】やや難。

1) 誤り。当該勧告は行政指導であるとしつつ、この勧告に従わなければ相当程度の確実さを以て病院開設後保険医療機関の指定を受けることができなくなるという効果をもたらすものとして、勧告に処分性を肯定している(最判平成17年7月15日)。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)122−123頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)269頁。

2) 誤り。条例の制定自体は、行政庁による法の執行としての処分と同視できないという理由で、処分性を否定している(最判平成18年7月14日)。前掲塩野110頁、櫻井他273頁。

3) 誤り。都市計画法に基づく都市計画としての工業地域(用途地域)の指定は、不特定多数者に対する一般的抽象的なものであるとして、処分性は否定されている(最判昭和57年4月22日)。前掲塩野113頁、櫻井他276頁。

4) 誤り。この通知により、当該貨物は適法に輸入できなくなるという法律上の効果が発生しているという点をとらえ、ここにいう通知に処分性を肯定したのが判例である(最判昭和54年12月25日)。前掲塩野116頁、櫻井他272頁。

5) 正しい。最判平成21年11月26日である。当該条例の制定行為が、その施行により保育所が廃止され、保育を受けている児童及び保護者の保育を受けることを期待し得る法的地位を奪うことになる等を理由として、当該制定行為に処分性が肯定された。前掲塩野111頁、櫻井他274頁。