■2012年行政書士試験・行政法総論第4問

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■総論横断問題(2012−24)【理論問題】

Xは、A川の河川敷においてゴルフ練習場を経営すべく、河川管理者であるY県知事に対して、河川法に基づく土地の占用許可を申請した。この占用許可についての次の記述のうち、妥当なものはどれか。

1) この占用許可は、行政法学上の「許可」であるから、Xの申請に許可を与えるか否かについて、Y県知事には、裁量の余地は認められない。

2) 申請が拒否された場合、Xは、不許可処分の取消訴訟と占用許可の義務付け訴訟を併合提起して争うべきであり、取消訴訟のみを単独で提起することは許されない。

3) Y県知事は、占用を許可するに際して、行政手続法上、同時に理由を提示しなければならず、これが不十分な許可は、違法として取り消される。

4) Xが所定の占用料を支払わない場合、Y県知事は、行政代執行法の定めによる代執行によって、その支払いを強制することができる。

5) Y県知事は、河川改修工事などのやむをえない理由があれば、許可を撤回できるが、こうした場合でも、Xに損失が生ずれば、通常生ずべき損失を補償しなければならない。

■解説

【難易度】やや難。

1) 誤り。河川の占有許可は、講学上の「許可」ではなく「特許」に該当する。河川といった一般公衆の用に供される公共用物を、特定人に独占利用させる特別の権利を私人に付与するからである。また特許の場合は、許可と異なり特許を与えるか否かにつき、行政庁の広い裁量が認められる。櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)79−80頁。

2) 誤り。(申請型)義務付け訴訟を提起する場合は、取消訴訟等を併合しなければならないが(行政事件訴訟法37条の3第3項)、取消訴訟については単独で提起ができる。前掲櫻井他337頁。

3) 誤り。「行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない」(行政手続法8条)。

4) 誤り。Y県が有するXへの金銭債権を満足させる手続は代執行ではなく強制徴収である(河川法74条参照)。塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)238頁。

5) 正しい。河川法76条1項。河川法の知識を必要とする肢というのは酷に思われる。なお最判昭和49年2月5日。前掲櫻井他100−101頁参照。