■2012年行政書士試験・法令記述式第3問

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■民法、遺言(2012−46)【条文知識問題】

次の文章は遺言に関する相談者と回答者の会語である。( )の中に、どのような請求によって、何について遺言を失効させるかを40字程度で記述しなさい。

相談者「今日は遺言の相談に参りました。私は夫に先立たれて独りで生活しています。亡くなった夫との間には息子が一人おりますが、随分前に家を出て一切交流もありません。私には、少々の預金と夫が遺してくれた土地建物がありますが、少しでも世の中のお役に立てるよう、私が死んだらこれらの財産一切を慈善団体Aに寄付したいと思っております。このような遺言をすることはできますか。」

回答者「もちろん、そのような遺言をすることはできます。ただ「財産一切を慈善団体Aに寄付する」という内容が、必ずしもそのとおりになるとは限りません。というのも、相続人である息子さんは、( )からです。そのようにできるのは、被相続人の財産処分の自由を保障しつつも、相続人の生活の安定及び財産の公平分配をはかるためです。

■解説

【難易度】普通。

遺言は、契約自由の原則、意思自治の原則を法主体の死後にまで及ぼすという性格を有するが、これは本来は例外的現象であるが故に、死後に実現されることが保証されたものについては色々な制限が加わる。佐藤−伊藤−右近『民法X』第2版補訂(2000年、有斐閣)191頁。

この制限の一つに遺留分制度(1028条)がある。一定の親族範疇に属する相続人には、被相続人の財産の一定部分に強い相続権を認め、被相続人がこの部分を侵害するような遺言処分をしたような場合には、これら相続人は裁判によって侵害部分を取り戻すことができる、というのがそれである。前掲佐藤他218頁。

本問に登場する息子は、相続人であり(887条1項)母たる被相続人の財産の2分の1につき遺留分を有する(1028条2号)。そして息子はこの遺留分を保全するのに遺留分減殺請求を行使し得る(1031条)。前掲佐藤他219頁以下。本問題はこれをまとめることになる。

「遺留分減殺請求権により、自己の遺留分を保全するのに必要な限度で遺言を失効させる事ができる。」(45文字)