■2013年行政書士試験・法令科目多肢選択式第1問

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■ビラ配り規制(2013−41)【判例問題】

次の文章は、ある最高裁判所判決の一節(一部を省略)である。空欄(ア)−(エ)に当てはまる語句を、枠内の選択肢(1−20)から選びなさい。

確かに、(ア)は、民主主義社会において特に重要な権利として尊重されなければならず、被告人らによるその政治的意見を記載したビラの配布は、(ア)の行使ということができる。しかしながら、……憲法21条1項も、(ア)を絶対無制限に保障したものではなく、公共の福祉のため必要かつ合理的な制限を是認するものであって、たとえ思想を外部に発表するための手段であっても、その手段が他人の権利を不当に害するようなものは許されないというべきである。

本件では、(イ)を処罰することの憲法適合性が問われているのではなく、(ウ)すなわちビラの配布のために「人の看守する邸宅」に(エ)権者の承諾なく立ち入ったことを処罰することの憲法適合性が問われているところ、本件で被告人らが立ち入った場所は、防衛庁の職員及びその家族が私的生活を営む場所である集合住宅の共用部分及びその敷地であり、自衛隊・防衛庁当局がそのような場所として(エ)していたもので、一般に人が自由に出入りすることのできる場所ではない。たとえ(ア)の行使のためとはいっても、このような場所に(エ)権者の意思に反して立ち入ることは、(エ)権者の(エ)権を侵害するのみならず、そこで私的生活を営む者の私生活の平穏を侵害するものといわざるを得ない。
(最二小判平成20年4月11日刑集62巻5号1217頁)

1) 出版の自由 2) 統治 3) 集会の手段 4) 良心そのもの 5) 出版それ自体 6) 良心の自由 7) 管理 8) 居住の手段 9) 居住・移転の自由 10) 表現の自由 11) 集会それ自体 12) 良心の表出 13) 支配 14) 集会の自由 15) 出版の手段 16) 居住 17) 表現の手段 18) 居住それ自体 19) 所有 20) 表現そのもの

■解説

【難易度】やや難しい。立川反戦ビラ事件からの出題である。イ)、ウ)が難しかったかもしれない。

ア) 10)「表現の自由」。「憲法21条1項も、(ア)を絶対無制限に保障したものではなく」という個所が手掛かりになろう。

イ) 20)「表現そのもの」。

ウ) 17)「表現の手段」。本件において最高裁は、表現の時場所方法規制につき、LRAの原則ではなく、猿払事件等(最大判昭和49年11月6日)でみられた合理的関連性の基準を用いたのではなかろうか。芦部信喜『憲法学U人権総論』(有斐閣、1994年)244−245頁参照。
猿払事件では、意見表明自体とそれについての行動を区分した「きわめて分かりにくい論法」(佐藤幸治『日本国憲法論』〔成文堂、2011年〕163頁注104)が展開され、「行動」について観念的、抽象的な利益衡量をしたのみで人権制約の合憲性が導かれたが、これはまさに本件の、表現そのものとその手段を区分する思考プロセスと合致していると言えようか。
なお当然猿払事件等の区分論に対しては、「ほとんどすべての表現行為の規制が『行動規制』にすぎないから合憲ということになりかねない」(前掲佐藤163頁注104)という批判があるが、この批判は本件ビラ配りについても当てはまろう。

エ) 7)「管理」。「自衛隊・防衛庁当局がそのような場所として(エ)していた」という個所が手掛かりになりやすいだろうか。

本問については、前掲佐藤272−273頁参照。