■2013年行政書士試験・民法第8問(債権)

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■不法原因給付(2013−34)【条文知識問題】

Aは、配偶者がいるにもかかわらず、配偶者以外のBと不倫関係にあり、その関係を維持する目的で、A所有の甲建物をBに贈与した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、正しいものはどれか。

1) 甲建物がAからBに引き渡されていない場合に、A・B間の贈与が書面によってなされたときには、Aは、Bからの引渡請求を拒むことはできない。

2) 甲建物が未登記建物である場合において、Aが甲建物をBに引き渡したときには、Aは、Bに対して甲建物の返還を請求することはできない。

3) 甲建物が未登記建物である場合において、Aが甲建物をBに引き渡した後に同建物についてA名義の保存登記をしたときには、Aは、Bに対して甲建物の返還を請求することができる。

4) A名義の登記がなされた甲建物がBに引き渡されたときには、Aは、Bからの甲建物についての移転登記請求を拒むことはできない。

5) 贈与契約のいきさつにおいて、Aの不法性がBの不法性に比してきわめて微弱なものであっても、Aが未登記建物である甲建物をBに引き渡したときには、Aは、Bに対して甲建物の返還を請求することはできない。

■解説

【難易度】普通。

1) 誤り。「不倫関係の維持を目的」とした不動産の贈与、というのは公序良俗違反(90条)といえる。公序良俗違反は無効である以上、AはBの請求を拒否できる。

2) 正しい。「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない」(708条本文)が、如何なる場合に「給付」があったと言えるか。判例は、未登記建物は引渡があれば708条の「給付」に該当するとする(最大判昭和45年10月21日)。よってAはBに甲の返還を求めることはできない。藤岡−磯村−浦河−松本『民法W』第3版補訂(2009年、有斐閣)412頁。

3) 誤り。2)と同様の理由でAはBに甲の返還を求めることはできない。その結果、給付した物の返還を請求できなくなったことの「反射的効果」として、所有権はBに帰属するというのが判例である(最大判昭和45年10月21日)。前掲藤原412−413頁。

4) 誤り。既登記建物が引渡されただけでは708条に言う「引渡」とは言えず、所有権移転登記手続の履践をも要するというのが判例である(最判昭和46年10月28日)。よってAはBへの移転登記請求を拒絶し得る。前掲藤原他412−413頁。

5) 誤り。708条但書の適用における「両当事者の不法性の衡量」が問題となる。判例は、「Aの不法性がBの不法性に比してきわめて微弱」である場合、708条の適用はないとする(最判昭和29年8月30日)。よってこの場合、708条但書に基づきAは返還請求をし得るということになろう。前掲藤岡他411頁。