■2013年行政書士試験・民法第6問(債権)

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■賃貸借(2013−32)【条文知識問題】

Aは、B所有の甲土地上に乙建物を建てて保存登記をし、乙建物をCが使用している。この場合に関する次のア)−オ)の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものはいくつあるか。

ア) Aが、甲土地についての正当な権原に基づかないで乙建物を建て、Cとの間の建物賃貸借契約に基づいて乙建物をCに使用させている場合に、乙建物建築後20年が経過したときには、Cは、Bに対して甲土地にかかるAの取得時効を援用することができる。

イ) Aが、Bとの間の土地賃貸借契約に基づいて乙建物を建て、Cとの間の建物賃貸借契約に基づいてCに乙建物を使用させている場合、乙建物の所有権をAから譲り受けたBは、乙建物についての移転登記をしないときは、Cに対して乙建物の賃料を請求することはできない。

ウ) Aが、Bとの間の土地賃貸借契約に基づいて乙建物を建て、Cとの間の建物賃貸借契約に基づいてCに乙建物を使用させている場合、Cは、Aに無断で甲土地の賃料をBに対して支払うことはできない。

エ) Aが、Bとの間の土地賃貸借契約に基づいて乙建物を建てている場合、Aが、Cに対して乙建物を売却するためには、特段の事情のない限り、甲土地にかかる賃借権を譲渡することについてBの承諾を得る必要がある。

オ) Aが、Bとの間の土地賃貸借契約に基づいて乙建物を建て、Cとの間の建物賃貸借契約に基づいてCに乙建物を使用させている場合、A・B間で当該土地賃貸借契約を合意解除したとしても、特段の事情のない限り、Bは、Cに対して建物の明渡しを求めることはできない。

1) 1つ
2) 2つ
3) 3つ
4) 4つ
5) 5つ

■解説

【難易度】難しい。民法改正に伴う補足事項がある(外部ブログ)。

ア) 誤り。この場合Cは、甲土地についてのAの取得時効をBに対して援用できないというのが判例である(最判昭和44年7月15日)。山田−河内−安永−松久『民法T』第3版補訂(2007年、有斐閣)226頁。

イ) 正しい。本肢のような賃料請求の他、Cに対し解約の申し入れや解除をする場合、Bは登記を必要とするか。判例はいずれについても登記必要説をとっている(大判昭和8年5月9日、最判昭和25年11月30日、最判昭和49年3月19日)。淡路−鎌田−原田−生熊『民法U』第2版(1994年、有斐閣)68頁。

ウ) 誤り。「第三者の弁済」が問題となる事例である。この場合Cが弁済について利害関係のない第三者である場合、Aの意思に反してまで賃料をBに支払うことはできないが、この事例のような、借地上の建物の賃借人の地代の弁済については、法律上の利害関係があるとするのが判例である(昭和63年7月1日)。よってCはAに無断でも土地賃料の支払をBになし得る(474条1項但書に言う「反対の意思表示」の存在も読み取れない)。

エ) 正しい。借地上の建物譲渡には土地賃借権の譲渡を伴うというのが判例であり、そうである以上、612条1項規定の通り賃貸人の承諾が必要となる。藤岡−磯村−浦河−松本『民法W』第3版補訂(2009年、有斐閣)128頁参照。

オ) 正しい。Cに建物退去、土地明渡を請求することを得ない(最判昭和38年2月21日)。前掲藤岡他162頁参照。

よって正解はア)、ウ)の2つとなろう。