■2013年行政書士試験・民法第3問(債権)

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■売買契約をめぐる問題(2013−29)【判例問題】

Aが自己所有の事務機器甲(以下、「甲」という。)をBに売却する旨の売買契約(以下、「本件売買契約」という。)が締結されたが、BはAに対して売買代金を支払わないうちに甲をCに転売してしまった。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

1) Aが甲をすでにBに引き渡しており、さらにBがこれをCに引き渡した場合であっても、Aは、Bから売買代金の支払いを受けていないときは、甲につき先取特権を行使することができる。

2) Aが甲をまだBに引き渡していない場合において、CがAに対して所有権に基づいてその引渡しを求めたとき、Aは、Bから売買代金の支払いを受けていないときは、同時履行の抗弁権を行使してこれを拒むことができる。

3) 本件売買契約において所有権留保特約が存在し、AがBから売買代金の支払いを受けていない場合であったとしても、それらのことは、Cが甲の所有権を承継取得することを何ら妨げるものではない。

4) Aが甲をまだBに引き渡していない場合において、CがAに対して所有権に基づいてその引渡しを求めたとき、Aは、Bから売買代金の支払いを受けていないときは、留置権を行使してこれを拒むことができる。

5) Aが甲をまだBに引き渡していない場合において、Bが売買代金を支払わないことを理由にAが本件売買契約を解除(債務不履行解除)したとしても、Aは、Cからの所有権に基づく甲の引渡請求を拒むことはできない。

■解説

【難易度】普通。

1) 誤り。甲がBの下にある段階は、Aは動産売買の先取特権を行使し得るが(321条)、甲は第三者Cに引き渡されているので、先取特権の追及効がなくなる(333条)。よって甲につき先取特権を行使し得ない。なおこの場合Aは、BがCに対し有する債権につき物上代位できる場合がある(304条)。内田貴『民法V』初版(1996年、東大出版会)465−466頁。

2) 誤り。同時履行の抗弁権(533条)は、留置権と異なり契約の相手方に対してのみ行使し得る。よってAは「C」に同時履行の抗弁権を行使し得ない。 前掲淡路他212頁。

3) 誤り。所有権留保特約の結果、甲についての所有権はAに留保されているので、Cが甲について即時取得をしない限り、甲の所有権を取得し得ない。前掲内田500頁以下。

4) 正しい。留置権(295条)は、同時履行の抗弁権と異なり物権であるから、誰に対してもこれを行使し得る。前掲淡路他212頁。

5) 誤り。そもそもAの解除により契約は遡及的に消滅するが(545条1項本文)、第三者の権利を害することを得ない(545条1項但書)。しかしこの場合、第三者CがAに対抗するには対抗要件を必要とするので(最判昭和33年6月14日)、甲の引渡を受けていないCはAに対抗できない。逆にいえばAはCの引渡請求を拒むことができる。前掲淡路他55頁。