■2013年行政書士試験・民法第2問(総則)

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■取得時効と登記(2013−28)【判例問題】

不動産の取得時効と登記に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

1) 不動産の取得時効の完成後、占有者が登記をしないうちに、その不動産につき第三者のために抵当権設定登記がなされた場合であっても、その占有者が、その後さらに時効取得に必要な期間、占有を継続したときは、特段の事情がない限り、占有者はその不動産を時効により取得し、その結果、抵当権は消滅する。

2) 不動産を時効により取得した占有者は、取得時効が完成する前に当該不動産を譲り受けた者に対して、登記がなければ時効取得をもって対抗することができない。

3) 不動産を時効により取得した占有者は、取得時効が完成した後に当該不動産を譲り受けた者に対して、登記がなければ時効取得をもって対抗することができず、このことは、その占有者が、その後さらに時効取得に必要な期間、占有を継続したとしても、特段の事情がない限り、異ならない。

4) 不動産の取得時効の完成後、占有者が、その時効が完成した後に当該不動産を譲り受けた者に対して時効を主張するにあたり、起算点を自由に選択して取得時効を援用することは妨げられない。

5) 不動産を時効により取得した占有者は、取得時効が完成した後にその不動産を譲り受けて登記をした者に対して、その譲受人が背信的悪意者であるときには、登記がなくても時効取得をもって対抗することができるが、その譲受人が背信的悪意者であると認められるためには、同人が当該不動産を譲り受けた時点において、少なくとも、その占有者が取得時効の成立に必要な要件を充足していることについて認識していたことを要する。

■解説

【難易度】普通。

1) 正しい。最判平成24年3月16日(判決文〔最高裁。pdfファイル〕)である。

2) 誤り。時効が完成した時点における、占有者と譲受人は「当事者」という関係になるので、占有者が時効を主張するのに登記は不要である(最判昭和41年11月22日)。淡路−鎌田−原田−生熊『民法U』第2版(1994年、有斐閣)62頁。

3) 誤り。2)と異なり占有者は、時効完成後に不動産を譲り受けた者に対しては、登記がなければ時効完成を対抗できない(大連判大正14年7月1日)。しかしその後、さらに占有者が時効取得に必要な期間占有を継続すれば、この譲受人に対し登記なくして時効取得を主張し得るというのが判例である(最判昭和36年7月20日)。

4) 誤り。起算点を占有者が選択し得るとすると、譲受人がいつ利害関係を持つようになったかを操作することができる。つまり時効完成前に譲受人が不動産を取得したとすることも可能になり、結果2)と同じ理由で占有者は登記なくして譲受人に対抗できることになる(逆算説)が、判例はこのような考えを否定する(大判昭和14年7月19日)。前掲淡路他64頁。

5) 誤り。譲受人が背信的悪意者であれば、登記なくして時効取得を対抗できるという説明は正しいが(最判昭和43年8月2日)、譲受人が背信的悪意者であると認定するのに、「同人が当該不動産を譲り受けた時点において、少なくとも、その占有者が取得時効の成立に必要な要件を充足していることについて認識」している必要はなく、占有者が「多年にわたり当該不動産を占有している事実を認識」していれば足りるとするのが判例である(平成18年1月17日。判決文〔最高裁。pdfファイル〕)。前掲淡路他72頁。