■2013年行政書士試験・行政法総論第3問

行政書士合格講座2013行政書士試験の問題解説>2013年行政書士試験・行政法総論第3問

このサイトについて・プライバシーポリシー 憲法学の窓・公務員試験対策室 Site Map

■公法関係と私法関係(2013−10)【判例問題】

公法と私法に関する次の記述のうち、法令または最高裁判所の判例に照らし、正しいものはどれか。

1) 公立病院において行われる診療に関する法律関係は、本質上私法関係と解されるので、公立病院の診療に関する債権の消滅時効は、地方自治法の規定ではなく、民法の規定に基づいて判断される。

2) 一般職の地方公務員については、その勤務関係が公法的規律に服する公法上の関係であるので、私法的規律である労働三法(労働基準法、労働組合法、労働関係調整法)はすべて適用されない。

3) 地方公共団体が事業者との間で締結する公害防止協定については、公法上の契約に該当すると解されるので、根拠となる条例の定めがない限り、当該協定に法的拘束力は生じない。

4) 公営住宅の使用関係については、原則として公法関係と解されるので、法令に特別の定めがない限り、民法の規定は適用されない。

5) 国の金銭債権は、私法上のものであっても、その消滅時効については、法令に特別の定めがない限り、すべて会計法の規定に基づいて判断される。

■解説

【難易度】やや難。

1) 正しい。最判平成17年11月21日。塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)40−41頁注2。

2) 誤り。「すべて適用されない」のではない。労働基準法の適用はあり得る(地方公務員法58条3項等)。一方労働組合法、労働関係調整法は適用がない(58条1項)。

3) 誤り。公害防止協定の法的性格については、紳士協定と解する説と法的拘束力を認める説の対立があるが、最判平成21年7月10日は、後説の立場をとっていると解される。前掲塩野193頁以下、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)128頁。

4) 誤り。公営住宅法やこれに基づく条例が「特別法」として民法や借家法に対し優先適用されるが、これら特別法に特別の定めがない限り、一般法たる民法や借家法の適用があるというのが判例(最判昭和59年12月13日)である。前掲櫻井他30頁。

5) 誤り。会計法(30条)と国の権利、国に対する権利の消滅時効の問題について、判例は「公法私法二元論」を前提に、私法上の債権だから民法の時効期間によるとか公法上の債権だから会計法によるという立場を取らず、債権の中身を実質的にみて会計法の適用を決めている(最判昭和50年2月25日)。つまり会計法の適用があるのは私法とか公法上のもの云々ではなく、「国の権利義務を早期に決済する必要があるなど主として行政上の便宜を考慮」する必要がある金銭債権に限られるとしている。前掲塩野27頁以下、櫻井他29頁。

なおこの50年判決の他、最判昭和41年11月1日と1)で登場した平成17年判決も、ここで取り上げた問題に関係するものであるが、後二者が「私法上の債権」といった概念を使い消滅時効期間について判断していることについては、前掲塩野40−41頁注2参照。