■2013年行政書士試験・行政法総論第2問

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■行政の自己拘束(2013−9)【判例問題】

行政の自己拘束に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、誤っているものはどれか。

1) 事業者に対する行政財産の目的外使用許可が所定の使用期間の途中で撤回された場合に、撤回を行った行政主体に損失補償の責任が生じるのは、許可に際して損失補償をする旨の取り決めを行ったときに限られる。

2) 行政庁がその裁量に任された事項について、裁量権行使の準則(裁量基準)を定めることがあっても、このような準則は、行政庁の処分の妥当性を確保するためのものであるから、処分が当該準則に違背して行われたとしても、違背したという理由だけでは違法とはならない。

3) 行政主体が一方的かつ統一的な取扱いの下に国民の重要な権利の行使を違法に妨げた結果、行政主体に対する債権を消滅時効にかからせた場合、行政主体の側が消滅時効の主張をすることは許されない。

4) 行政主体が公務員の採用内定の取消しを行った場合、内定通知の相手方がその通知を信頼し、その職員として採用されることを期待して他の就職の機会を放棄するなどの準備を行っていたときは、当該行政主体はその者に対して損害賠償の責任を負うことがある。

5) 異議申立てに対する決定等の一定の争訟手続を経て確定した行政庁の法的な決定については、特別の規定がない限り、関係当事者がこれを争うことができなくなることはもとより、行政庁自身もこれを変更することができない。。

■解説

【難易度】やや難。

1) 誤り。ここでいう取り決めのある場合の他、使用権者が使用許可を受けるにあたり対価を支払ったがその対価を償却していないといった特別の事情がある場合にも、損失補償の必要があるというのが判例である(最判昭和49年2月5日)。櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)100−101頁。

2) 正しい。裁量基準から離れた決定を行政庁がなし得るかという問題があるが、これを肯定するのが判例であり、故に本肢のような結論になるマクリーン事件(最大判昭和53年10月4日)。但し準則と異なる判断をするには、そのための合理的理由が必要であると解されよう。塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)106頁。

3) 正しい。最判平成19年2月6日である。前掲塩野104−105頁。

4) 正しい。最判昭和57年5月27日。損害賠償の点よりも、採用内定の取消が抗告訴訟の対象となる処分ではない、とされた事案として有名である。前掲櫻井他272頁。

5) 正しい。最判昭和29年1月21日、この29年判決を先例として引用する最判昭和42年9月26日である。前掲塩野157頁、櫻井他91−92頁。不可変更力の表れである。