■2014年行政書士試験・民法第8問(不法行為)

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■不法行為(2014−34)【判例問題】

生命侵害等に対する近親者の損害賠償請求権に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

1) 他人の不法行為により夫が即死した場合には、その妻は、相続によって夫の逸失利益について損害賠償請求権を行使することはできない。

2) 他人の不法行為により夫が死亡した場合には、その妻は、相続によって夫本人の慰謝料請求権を行使できるので、妻には固有の慰謝料請求権は認められていない。

3) 他人の不法行為により、夫が慰謝料請求権を行使する意思を表明しないまま死亡した場合には、その妻は、相続によって夫の慰謝料請求権を行使することはできない。

4) 他人の不法行為により死亡した被害者の父母、配偶者、子以外の者であっても、被害者との間にそれらの親族と実質的に同視し得る身分関係が存在するため被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた場合には、その者は、加害者に対して直接固有の慰謝料請求をすることができる。

5) 他人の不法行為により子が重い傷害を受けたために、当該子が死亡したときにも比肩しうべき精神上の苦痛をその両親が受けた場合でも、被害者本人は生存しており本人に慰謝料請求権が認められるので、両親には固有の慰謝料請求権は認められていない。

■解説

【難易度】普通。

1) 誤り。被害者死亡の場合、その近親者に認められる慰謝請求権とは別に、死亡自体の損害につき精神的損害であれ財産的損害(逸失利益)であれ、被害者自体が損害賠償請求権を取得し、それが相続人に承継されるというのが確立した判例である(被害者即死の場合も同様。大判大正15年2月16日)。藤岡−磯村−浦河−松本『民法W』第3版補訂(2009年、有斐閣)354頁。

2) 誤り。民法711条は、一定範囲の近親者に対し遺族固有の慰謝料請求権を付与したものと解されているが、ここでの近親者には妻も含まれている。前掲藤岡他352−353頁。

3) 誤り。被害者である夫が有していた慰謝料請求権について、その死亡後相続人は当然に慰謝料請求権を相続する(当然相続説)というのが判例である(最大判昭和42年11月1日)。前掲藤岡他355頁。

4) 正しい。慰謝料請求権者を711条所定以外の者に拡張してよいかが問題となるが、判例は、死亡した妻と同居していた夫の妹(身障者)に、711条を類推し慰謝料請求権を認めた(最判昭和49年12月17日)。前掲藤岡他353頁。

5) 誤り。この場合被害者本人は「生存」しているので、「生命侵害」を前提とする711条の適用は認められないが、判例は、両親が生命侵害にも等しい精神的苦痛を受けた場合につき慰謝料請求を容認した(最判昭和33年8月5日。709、710条)。前掲藤岡他353頁。