■2014年行政書士試験・民法第7問(債権)

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■債権の準占有者への弁済(2014−33)【判例問題】

債権の準占有者に対する弁済等に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはいくつあるか。

ア) 他人名義の預金通帳と届出印を盗んだ者が銀行の窓口でその代理人と称して銀行から払戻しを受けた場合に、銀行が、そのことにつき善意であり、かつ過失がなければ、当該払戻しは、債権の準占有者への弁済として有効な弁済となる。

イ) 他人名義の定期預金通帳と届出印を盗んだ者が銀行の窓口で本人と称して、定期預金契約時になされた定期預金の期限前払戻特約に基づいて払戻しを受けた場合に、銀行が、そのことにつき善意であり、かつ過失がなければ、当該払戻しは、債権の準占有者への弁済として有効な弁済となる。

ウ) 他人名義の定期預金通帳と届出印を盗んだ者が銀行の窓口で本人と称して銀行から定期預金を担保に融資を受けたが、弁済がなされなかったため、銀行が当該貸金債権と定期預金債権とを相殺した場合に、銀行が、上記の事実につき善意であり、かつ過失がなければ、当該相殺は、債権の準占有者への弁済の規定の類推適用により有効な相殺となる。

エ) 債権者の被用者が債権者に無断でその印鑑を利用して受取証書を偽造して弁済を受けた場合であっても、他の事情と総合して当該被用者が債権の準占有者と認められるときには、債務者が、上記の事実につき善意であり、かつ過失がなければ、当該弁済は、債権の準占有者への弁済として有効な弁済となる。

オ) 債権が二重に譲渡され、一方の譲受人が第三者対抗要件を先に具備した場合に、債務者が、その譲受人に対する弁済の有効性について疑いを抱いてもやむをえない事情があるなど、対抗要件で劣後する譲受人を真の債権者であると信ずるにつき相当の理由があるときに、その劣後する譲受人に弁済すれば、当該弁済は、債権の準占有者への弁済として有効な弁済となる。

1) 1つ

2) 2つ

3) 3つ

4) 4つ

5) 5つ

■解説

【難易度】難しい。民法改正に伴う補足事項がある(外部ブログ)。

ア) 正しい。準占有は本来、「自己のためにする意思」を以て財産権を行使する場合(民法205条)を指すが、このように債権者の「代理人」や「使者」と称する者への弁済も、債権の準占有の規定によるというのが判例である(最判昭和42年12月21日)。また善意無過失という主観的要件についての説明も正しい(最判昭和41年10月4日)。野村−栗田−池田−永田『民法V』第2版補訂(1999年、有斐閣)230頁。

イ) 正しい。このような期限前の払戻も商慣習上満期の払戻に並ぶ弁済に該当し、478条の適用があるというのが判例である(最判昭和41年10月4日)。前掲野村他231頁。

ウ) 正しい。預金証書の所持人に、その預金債権と相殺する予定で貸し付けを行った場合にも、478条が類推適用されるというのが判例である(昭和48年3月27日)。前掲野村他231頁。

エ) 正しい。受取証書持参人は、弁済を受領する権限があったものとみなされるが(480条本文)、この受取証書は真正に作成されたものでなければならないので、この場合同条の適用はない(通説、大判明治41年1月3日)。但し「偽造」の受取証書に基づいて債権を行使し受領した場合、債権の準占有者への弁済として有効になる場合もある(大判昭和2年6月22日)。前掲野村他232頁。

オ) 正しい。債権の二重譲渡においてこのような相当の理由がある場合、467条2項所定の対抗要件に付き劣後する譲受人に対してされた弁済についても、478条の適用があるというのが判例である(最判昭和61年4月11日)。

よって正解は5)の5つとなろう。