■2014年行政書士試験・民法第4問(物権)

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■物上代位(2014−30)【判例問題】

物上代位に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものはどれか。

1) 対抗要件を備えた抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され、譲受人が第三者に対する対抗要件を備えた後であっても、第三債務者がその譲受人に対して弁済する前であれば、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。

2) 対抗要件を備えた抵当権者が、物上代位権の行使として目的債権を差し押さえた場合、第三債務者が債務者に対して反対債権を有していたとしても、それが抵当権設定登記の後に取得したものであるときは、当該第三債務者は、その反対債権を自働債権とする目的債権との相殺をもって、抵当権者に対抗することはできない。

3) 動産売買の先取特権に基づく物上代位につき、動産の買主が第三取得者に対して有する転売代金債権が譲渡され、譲受人が第三者に対する対抗要件を備えた場合であっても、当該動産の元来の売主は、第三取得者がその譲受人に転売代金を弁済していない限り、当該転売代金債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。

4) 動産売買の先取特権に基づく物上代位につき、買主がその動産を用いて第三者のために請負工事を行った場合であっても、当該動産の請負代金全体に占める価格の割合や請負人(買主)の仕事内容に照らして、請負代金債権の全部または一部をもって転売代金債権と同視するに足りる特段の事情が認められるときは、動産の売主はその請負代金債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。

5) 抵当権者は、抵当不動産につき債務者が有する賃料債権に対して物上代位権を行使することができるが、同不動産が転貸された場合は、原則として、賃借人が転借人に対して取得した転貸賃料債権を物上代位の目的とすることはできない。

■解説

【難易度】やや難しい。

1) 正しい。民法372条が準用する304条1項但書が問題となる。この点抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後も、自ら目的債権を差押えて物上代位権を行使し得るというのが判例である(最判平成10年1月30日。第三債務者保護説)。淡路−鎌田−原田−生熊『民法U』第2版(1994年、有斐閣)258頁。304条1項但書の「払渡し又は引渡し」には文言上債権譲渡は含まれないし、このように解しても第三債務者の弁済の利益を害さないというのがその理由である。

2) 正しい。最判平成13年3月13日。抵当権者が目的債権を差押える前の相殺は制限されないが、差押後は物上代位の効果が当該債権にも及ぶとしても、それは抵当権設定登記により公示されているからというのがその理由である。

3) 誤り。よってこれが正解である。動産売買の先取特権者は、物上代位の目的債権が譲渡され、第三者に対する対抗要件が備えられた後は、目的債権を差押えて物上代位権を行使することはできないというのが判例(最判平成17年2月22日)である。ここでも304条1項但書が問題となるが、動産売買の先取特権は抵当権と異なり公示手段がないため、同条項の解釈に「目的債権の譲受人等の第三者の利益を保護する趣旨」を取り込む必要があるためである

4) 正しい。動産の買主が目的物を「転売」した結果取得した債権(甲)については、動産売買の先取特権の対象になるが(304条)、目的物を用いて「請負」工事を行った結果取得した債権は、当該工事のための材料や労力に対する対価も含むため、甲債権と同じようには評価できず、先取特権の対象にならないのが原則である。しかし、請負代金全体に占める当該動産の価額の割合や請負契約における請負人の債務の内容等に照らし、請負代金債権の全部又は一部を動産の転売による代金債権と同視するに足りる特段の事情がある場合には、右部分の請負代金債権に対して物上代位権を行使することができるというのが判例である(最判平成10年12月18日)。

5) 正しい。賃料に対する物上代位は可能である(372、304条。なお最判平成1年10月27日参照。前掲淡路他255頁、内田貴『民法V』〔1996年、東大出版会〕372頁)。そして転貸借が仮装された場合等を除き、賃借人が転借人に対し取得した転貸賃料債権は、物上代位の対象にならないというのが判例である(最判平成12年4月14日)。