■2014年行政書士試験・憲法第2問

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■経済的自由権(2014−4)【判例問題】

行政書士をめざすA君は、いくつかの最高裁判所判決を読みながら、その重要な部分を書き取ったカードを作成し、判例の論理をたどろうとしていたところ、うっかりしてカードをばらまいてしまった。その際に、要約ミスのため捨てるはずだった失敗カードが1枚混ざってしまったため、全体としてつじつまがあわなくなった。以下の1)−5)のうち、捨てるはずだった失敗カードの上に書かれていた文章はどれか。

1) 一般に、国民生活上不可欠な役務の提供の中には、当該役務のもつ高度の公共性にかんがみ、その適正な提供の確保のために、法令によって、提供すべき役務の内容及び対価等を厳格に規制するとともに、更に役務の提供自体を提供者に義務づける等のつよい規制を施す反面、これとの均衡上、役務提供者に対してある種の独占的地位を与え、その経営の安定をはかる措置がとられる場合がある。

2) 憲法22条1項は、国民の基本的人権の一つとして、職業選択の自由を保障しており、そこで職業選択の自由を保障するというなかには、広く一般に、いわゆる営業の自由を保障する趣旨を包含しているものと解すべきであり、ひいては、憲法が、個人の自由な経済活動を基調とする経済体制を一応予定しているものということができる。

3) しかし、憲法は、個人の経済活動につき、その絶対かつ無制限の自由を保障する趣旨ではなく、各人は、「公共の福祉に反しない限り」において、その自由を享有することができるにとどまり、公共の福祉の要請に基づき、その自由に制限が加えられることのあることは、右条項自体の明示するところである。

4) のみならず、憲法の他の条項をあわせ考察すると、憲法は、全体として、福祉国家的理想のもとに、社会経済の均衡のとれた調和的発展を企図しており、その見地から、すべての国民にいわゆる生存権を保障し、その一環として、国民の勤労権を保障する等、経済的劣位に立つ者に対する適切な保護政策を要請していることは明らかである。

5) おもうに、右条項に基づく個人の経済活動に対する法的規制は、個人の自由な経済活動からもたらされる諸々の弊害が社会公共の安全と秩序の維持の見地から看過することができないような場合に、消極的に、かような弊害を除去ないし緩和するために必要かつ合理的な規制である限りにおいてのみ許されるべきである。

■解説

【難易度】難しい。奇をてらった問題のようだが、他の問題と同様普通に肢の正誤判断をすれば事足りる。

1) 正しい。薬局距離制限事件(最大判昭和50年4月30日)である。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、有斐閣)219頁、佐藤幸治『日本国憲法論』(2011年、成文堂)299頁。

2) 正しい。小売市場距離制限事件(最大判昭和47年11月22日)である。前掲芦部219頁、佐藤302頁。

3) 正しい。小売市場距離制限事件(最大判昭和47年11月22日)。

4) 正しい。小売市場距離制限事件(最大判昭和47年11月22日)。

5) 誤り。4)と5)の記述が矛盾している。4)では積極目的規制の必要性が説かれる一方、5)では消極目的規制のみが許されると説かれている。小売市場距離制限事件判決は、「おもうに、右条項に基づく個人の経済活動に対する法的規制は、個人の自由な経済活動からもたらされる諸々の弊害が社会公共の安全と秩序の維持の見地から看過することができないような場合に、消極的に、かような弊害を除去ないし緩和するために必要かつ合理的な規制である限りにおいて許される」ばかりでなく、「憲法は、全体として、福祉国家的理想のもとに、社会経済の均衡のとれた調和的発展を企図しており」、「経済的劣位に立つ者に対する適切な保護政策を要請している」としている(目的二分論)。前掲芦部217頁、佐藤302頁。