■2014年行政書士試験・行政救済法第8問

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■行政事件訴訟法他(2014−25)【条文知識問題】

鉄道事業者Xが輸送の安全対策を疎かにして多数の鉄道事故を引き起こしたことから、Y(国土交通大臣)はXに対して鉄道事業法に基づく事業改善命令を行うとともに(法23条)、Xの安全統括管理者(鉄道事業者が、輸送安全に関する業務を統括管理させるため、事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にあり、かつ、鉄道事業に関する一定の実務の経験その他の国土交通省令で定める要件を備える者のうちから選任する者をいう)の解任を命じることとした(法18条の3第7項)*。この事例に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、鉄道事業法には、行政手続や訴訟に関する特段の定めはない。

(注)*鉄道事業法18条の3第7項 国土交通大臣は、安全統括管理者又は運転管理者がその職務を怠つた場合であつて、当該安全統括管理者又は運転管理者が引き続きその職務を行うことが輸送の安全の確保に著しく支障を及ぼすおそれがあると認めるときは、鉄道事業者に対し、当該安全統括管理者又は運転管理者を解任すべきことを命ずることができる。

1) Yが事業改善命令を行うに際して、当該命令が許認可の取消しに相当するほど重大な損害をXに与える場合には、行政手続法に基づき、Xに対して、聴聞を実施しなければならない。

2) Yが事業改善命令を行うに際して、公益上、緊急にこれをする必要がある場合には、行政手続法に基づき、Xに対して、聴聞に換えて、より簡易な手続である弁明の機会の付与の手続をとらなければならない。

3) Yが業務改善命令を行わない旨を決定した場合、それによって安全を脅かされる利用者は、これに対して取消訴訟を提起することができる。

4) Yが安全統括管理者の解任命令を行った場合、Xの法的地位が侵害されるわけではないから、Xには当該命令に対する取消訴訟を提起する原告適格は認められない。

5) Yが安全統括管理者の解任命令を行うに際しては、当該命令は許認可の取消しには当たらないものの、行政手続法に基づき、Xに対して、聴聞を実施しなければならない。

■解説

【難易度】やや難しい。問題が長文で特殊なものの、問題の内容自体は行政手続法と行政事件訴訟法の知識問題である。

1) 誤り。行政手続法上聴聞が要求されているのは、@ 許認可等を取消す不利益処分、A 名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する不利益処分、B 名あて人が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる不利益処分、名あて人の業務に従事する者の解任を命ずる不利益処分又は名あて人の会員である者の除名を命ずる不利益処分、C @−B以外で行政庁が相当と認めるとき、の4つである(13条1項1号イ−ニ)。鉄道事業法の「事業改善命令」は、@−Cのいずれにも該当しないので、この命令を行うに際して「聴聞」は必要とされない。

2) 誤り。当該事業改善命令自体は「不利益処分」であるので、これをなすにあたり弁明の機会を付与することが必要だが(13条1項2号)、このような緊急の必要がある場合、聴聞、弁明の機会の両手続を省略することができる(13条2項1号)。

3) 誤り。この場合、原告適格の有無は別段として、提起すべき訴訟は取消訴訟ではなく義務付けの訴え(行政事件訴訟法3条6項)になろう。

4) 誤り。鉄道事業法18条の3第7項の条文にあるように、解任命令は「鉄道事業者に対し」出される処分だから、鉄道事業者Xは、解任命令について取消訴訟を提起する原告適格を有すると解されよう。

5) 正しい。行政手続法13条1項1号ハ。