■2014年行政書士試験・行政救済法第7問

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■損失補償(2014−20)【条文知識問題】

土地収用に伴う土地所有者に対する損失補償について、妥当な記述はどれか。

1) 土地収用に伴う損失補償は、「相当な補償」で足るものとされており、その額については、収用委員会の広範な裁量に委ねられている。

2) 土地収用に伴う損失補償を受けるのは、土地所有者等、収用の対象となる土地について権利を有する者に限られ、隣地の所有者等の第三者が補償を受けることはない。

3) 収用委員会の収用裁決によって決定された補償額に起業者が不服のある場合には、土地所有者を被告として、その減額を求める訴訟を提起すべきこととされている。

4) 土地収用に伴う土地所有者に対する補償は、その土地の市場価格に相当する額に限られ、移転に伴う営業利益の損失などは、補償の対象とされることはない。

5) 土地収用に関しては、土地所有者の保護の見地から、金銭による補償が義務付けられており、代替地の提供によって金銭による補償を免れるといった方法は認められない。

■解説

【難易度】やや難しい。

1) 誤り。判例は、土地収用に伴う損失補償の額につき、相当補償説ではなく「完全補償説」を採用する(最判昭和48年10月18日)。つまり収用の前後で、被収用者の持っている財産価値に増減がないようにしなければならない。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)392頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)397頁。なお最判昭和28年12月23日(相当補償説を採用)、最判平成14年6月11日(28年判決を維持。但し14年判例も実質的には完全補償説を採用したと解される〔前掲塩野392頁、櫻井他397頁〕)参照。

2) 誤り。収用する土地以外の土地について損失補償をしなければならない場合もある(土地注用法93条1項。以下法律名略)。つまり収用した土地の隣地の所有者が補償を受ける場合もある。

3) 正しい。133条3項。形式当事者訴訟の例として知られる。前掲塩野268頁、櫻井他351頁。

4) 誤り。営業利益の損失も補償の対象としなければならない(88条)。前掲塩野395頁、櫻井他398頁。

5) 誤り。代替地(替地)による補償も認められる(70条但書)。