■2014年行政書士試験・行政救済法第6問

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■国家賠償法(2014−19)【判例問題】

国家賠償法に関する次のア)−オ)の記述のうち、最高裁判所の判例に照らし、誤っているものの組合せはどれか。

ア) 1条1項に基づく国家賠償請求については、国または公共団体が賠償の責に任ずるのであって、公務員が行政機関としての地位において賠償の責任を負うものではなく、また公務員個人もその責任を負うものではないから、行政機関を相手方とする訴えは不適法であり、公務員個人を相手方とする請求には理由がない。

イ) 都道府県が児童福祉法に基づいて要保護児童を国又は公共団体以外の者の設置運営する児童養護施設に入所させたところ、当該施設の被用者がその入所児童に損害を加えたため、当該被用者の行為が都道府県の公権力の行使に当たるとして都道府県が被害者に対して1条1項に基づく損害賠償責任を負う場合であっても、被用者個人は、民法709条に基づく損害賠償責任を負わないが、施設を運営する使用者は、同法715条に基づく損害賠償責任を負う。

ウ) 法律の規定上当該営造物の設置をなしうることが認められている国が、自らこれを設置するにかえて、特定の地方公共団体に対しその設置を認めたうえ、その営造物の設置費用につき当該地方公共団体の負担額と同等もしくはこれに近い経済的な補助を供与する反面、その地方公共団体に対し法律上当該営造物につき危険防止の措置を請求しうる立場にあるときには、国は、3条1項所定の設置費用の負担者に含まれる。

エ) 市町村が設置する中学校の教諭がその職務を行うについて故意又は過失によって違法に生徒に損害を与えた場合において、当該教諭の給料等を負担する都道府県が1条1項、3条1項に従い上記生徒に対して損害を賠償したときは、当該都道府県は、賠償した損害につき、3条2項に基づき当該中学校を設置する市町村に対して求償することはできない。

オ) 公務員の定期健康診断におけるレントゲン写真による検診及びその結果の報告は、医師が専らその専門的技術及び知識経験を用いて行う行為であって、医師の一般的診断行為と異なるところはないから、国の機関の嘱託に基づいて保健所勤務の医師により行われた診断であっても、特段の事由のない限り、それ自体としては公権力の行使たる性質を有するものではない。

1) ア)、エ)
2) ア)、オ)
3) イ)、ウ)
4) イ)、エ)
5) ウ)、オ)

■解説

【難易度】普通。

ア) 正しい。最判昭和30年4月19日。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)353頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)366頁。

イ) 誤り。「国又は公共団体」(国家賠償法1条1項)以外の者が公権力の行使をする場合、この者について民法上の不法行為責任はどうなるか。判例は、本件被用者の行為を「都道府県の公権力の行使に当たる公務員の職務行為と解する」とし、都道府県につき国家賠償法1条の責任を認めたが、この場合被用者個人は「民法709条に基づく損害賠償責任を負わないのみならず、使用者も同法715条に基づく損害賠償責任を負わない」とした(最判平成19年1月25日)。前掲塩野321−322頁注1。

ウ) 正しい。最判昭和50年11月28日。前掲塩野372頁、櫻井他390頁。

エ) 誤り。最判平成21年10月23日である。判例は、都道府県による市町村への求償を肯定する。「市町村が設置する中学校の教諭がその職務を行うについて故意又は過失によって違法に生徒に与えた損害を賠償するための費用は」、「法令上、当該中学校を設置する市町村がその全額を負担すべき」ものであり、「当該市町村が国家賠償法3条2項にいう内部関係でその損害を賠償する責任」を負うので、上記損害を賠償した都道府県からの求償を認めるべきというのがその理由である。前掲塩野374−375頁、櫻井他389−390頁。

オ) 正しい。最判昭和57年4月1日。前掲塩野323頁、櫻井他364頁。

よって正解は4)になろう。