■2014年行政書士試験・行政救済法第4問

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■行政事件訴訟法(2014−17)【判例問題】

原告適格に関する最高裁判所の判決についての次のア)−オ)の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア) 公衆浴場法の適正配置規定は、許可を受けた業者を濫立による経営の不合理化から守ろうとする意図まで有するものとはいえず、適正な許可制度の運用によって保護せらるべき業者の営業上の利益は単なる事実上の反射的利益にとどまるから、既存業者には、他業者への営業許可に対する取消訴訟の原告適格は認められない。

イ) 森林法の保安林指定処分は、一般的公益の保護を目的とする処分であるから、保安林の指定が違法に解除され、それによって自己の利益を侵害された者であっても、解除処分に対する取消しの訴えを提起する原告適格は認められない。

ウ) 定期航空運送事業に対する規制に関する法体系は、飛行場周辺の環境上の利益を一般的公益として保護しようとするものにとどまるものであり、運送事業免許に係る路線を航行する航空機の騒音によって社会通念上著しい障害を受けることになる者であっても、免許取消訴訟を提起する原告適格は認められない。

エ) 自転車競技法に基づく場外車券発売施設の設置許可の処分要件として定められている位置基準は、用途の異なる建物の混在を防ぎ都市環境の秩序有る整備を図るという一般的公益を保護するにすぎないから、当該場外施設の設置・運営に伴い著しい業務上の支障が生ずるおそれがあると位置的に認められる区域に医療施設等を開設する者であっても、位置基準を根拠として当該設置許可の取消しを求める原告適格は認められない。

オ) (旧)地方鉄道法に定める料金改定の認可処分に関する規定の趣旨は、もっぱら、公共の利益を確保することにあるのであって、当該地方鉄道の利用者の個別的な権利利益を保護することにあるのではないから、通勤定期券を利用して当該鉄道で通勤する者であっても、当該認可処分によって自己の権利利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者に当たるということはできず、認可処分の取消しを求める原告適格は認められない。
1) 1つ
2) 2つ
3) 3つ
4) 4つ
5) 5つ

■解説

【難易度】やや難しい。

ア) 誤り。公衆浴場法の適正配置規定につき判例は、「被許可者を濫立による経営の不合理化から守ろうとする意図をも有するものであることは否定」し得ず、「適正な許可制度の運用によつて保護せらるべき業者の営業上の利益は」公衆浴場法によって保護される法的利益であるとして、既存業者にこのような原告適格を認めた(最判昭和37年1月19日)。塩野宏『行政法U』第6版(2019年、有斐閣)135頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5(2016年、弘文堂)282頁。

イ) 誤り。長沼ナイキ基地訴訟(最判昭和57年9月9日)である。判例は、保安林の指定につき直接の利害関係を有する者につき「保安林の指定が違法に解除され、それによつて自己の利益を害された場合」、保安林指定解除処分取消しの訴えを提起する原告適格を有するとした。前掲塩野137頁、櫻井他283頁。

ウ) 誤り。新潟空港訴訟(最判平成1年2月17日)である。判例は、定期航空運送事業に対する規制に関する法体系について「単に飛行場周辺の環境上の利益を一般的公益として保護しようとするにとどまらず、飛行場周辺に居住する者が航空機の騒音によつて著しい障害を受けないという利益をこれら個々人の個別的利益としても保護すべきとする趣旨を含む」ものであり、「運送事業免許に係る路線を航行する航空機の騒音によつて社会通念上著しい障害を受けることとなる者は」、当該免許の取消しにつき法律上の利益を有し、その取消訴訟における原告適格を有する、としている。前掲塩野133頁以下。

エ) 誤り。肢に言う、「位置基準」を根拠とした場外車券発売施設の設置許可処分についての原告適格の有無が争われた事案である(最判平成21年10月15日)。判例は、場外車券販売施設周辺に存在する「医療施設等の利用者」については原告適格を否定したが、「当該場外施設の設置、運営に伴い著しい業務上の支障が生ずるおそれがあると位置的に認められる区域に医療施設等を開設する者」については、原告適格を肯定した。前掲塩野148頁、櫻井他290頁。

オ) 正しい。近鉄特急事件(最判平成1年4月13日)である。前掲塩野145頁、櫻井他285頁。

よって正解は1)の1つとなろう。