■2014年行政書士試験・行政法総論第4問

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■住民基本台帳法の届出手続(2014−26)【判例問題】

市町村に転入した者は市町村長に届出なければならないこととされているが、この転入の届出について、妥当な記述はどれか。争いがあれば、最高裁判所の判例による。

1) 転入届については、届出書の提出により届出がなされたものと扱われ、市町村長は、居住の実態がないといった理由で、その受理を拒否することは許されない。

2) 転入届を受理せずに住民票を作成しないことは、事実上の取扱いに過ぎず、行政処分には該当しないから、届出をした者は、これを処分取消訴訟により争うことはできない。

3) 正当な理由なく転入届を所定の期間内にしなかった者に科される過料は、行政上の秩序罰であり、非訟事件手続法の手続により裁判所により科される。

4) 転入により、地域の秩序が破壊され住民の安全が害されるような特別の事情がある場合には、市町村長は、緊急の措置として、転入届の受理を拒否することができる。

5) 転入届に基づき作成された住民票が市町村長により職権で消除された場合、消除の効力を停止しても、消除された住民票が復活するわけではないから、消除をうけた者には、その効力の停止を申し立てる利益はない。

■解説

【難易度】やや難しい。

1) 誤り。住民基本台帳法上の「転入届があった場合には、その者に新たに当該市町村(指定都市にあっては区)の区域内に住所を定めた事実があれば、法定の届出事項に係る事由以外の事由を理由として転入届を受理しないことは許されず、住民票を作成しなければならない」というのが判例(最判平成15年6月26日)である。よって「住所を定めた事実がなければ」「転入届を受理しないことは許される」ということになろうか。

2) 誤り。最判平成15年6月26日は、転入届の不受理を処分であることを前提に処理している。よってこれを取消訴訟で争うことは可能であると解されよう。塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)312頁。

3) 正しい。住民基本台帳法22条1項、53条2項、54条。前掲塩野250頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)189−190頁。

4) 誤り。このような拒否は、実定法上の根拠を欠くというのが判例である(平成15年6月26日)。

5) 誤り。ある宗教団体への所属を理由に、転入届に基づき作成した住民票の職権消除と転入届を無効とした区長の行為が争われた事案だが、判例は、消除処分により「抗告人に回復困難な損害が生ずるおそれ」および「これを避けるため緊急の必要」があるとして、消除処分執行停止の申立を肯定した(最決平成13年6月14日)。