■2014年行政書士試験・法令記述式第2問

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■民法、詐害行為取消権(2014−45)【判例問題】

Aは複数の債権者から債務を負っていたところ、債権者の一人で懇意にしているBと相談の上、Bに優先的な満足を得させる意図で、A所有の唯一の財産である甲土地を、代物弁済としてBに譲渡した。その後、Bは同土地を、上記事情を知らないCに時価で売却し、順次、移転登記がなされた。この場合において、Aの他の債権者Xは、自己の債権を保全するために、どのような権利に基づき、誰を相手として、どのような対応をとればよいか。判例の立場を踏まえて40字程度で記述しなさい。

■解説

【難易度】普通。民法改正に伴う補足事項がある(外部ブログ)。

1) 「Bに優先的な満足−中略−代物弁済としてBに譲渡」。本問では「詐害行為取消権」(民法424条)が問題になる。多くの判例は、債権者による弁済の強要といった場合を除き(最判昭和45年11月19日)、代物弁済の詐害行為性を肯定する(大判昭和16年2月10日。相当代価での代物弁済も同様〔大判大正8年7月11日〕)。野村−栗田−池田−永田『民法V』第2版補訂(1999年、有斐閣)109−110頁。

2) 「上記事情を知らないCに時価で売却」。詐害行為取消権の理解については、「誰に何を請求するか」をめぐる対立がある。判例(大連判明治44年3月24日)はこの点につき、「受益者又は転得者」を相手に詐害行為取消権を行使すべきとしている。

本問では、転得者CはAB間の事情を知らないのであるから(424条1項但書)、受益者Bを詐害行為取消権の相手とする。前掲野村他101頁以下、内田貴『民法V』初版(1996年、東大出版会)287頁以下。

3) 「どのような対応をとればよいか」。「何を請求するか」の問題である。前記大連判判決は、詐害行為取消権を「債務者のした詐害行為を取り消すこと」と「それにより債務者の責任財産から逸出した財産の取戻し」と考えているが(前掲野村他102頁、内田288頁)、甲土地はBの物ではなく、かつCはABの事情を知らないのであるから、Xは甲土地の取戻しを請求できない。

本問ような「受益者悪意、転得者善意の場合」は、代物弁済を取り消し、受益者に対し目的物に代わる価格賠償を裁判(424条1項本文参照)で請求することになる。前掲内田285頁。

解答としては次のようになろうか。
「Xは詐害行為取消権に基づきBに対し、代物弁済を取り消し価格賠償を求める裁判上の請求をする。」(45文字)