■2015年行政書士試験・民法第8問(不法行為)

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■不法行為(2015−34)【判例問題】

A(3歳)は母親Bが目を離した隙に、急に道路へ飛び出し、Cの運転するスピード違反の自動車に轢かれて死亡した。CがAに対して負うべき損害賠償額(以下、「本件損害賠償額」という。)に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当なものはどれか。

1) 本件損害賠償額を定めるにあたって、A自身の過失を考慮して過失相殺するには、Aに責任能力があることが必要であるので、本件ではAの過失を斟酌することはできない。

2) 本件損害賠償額を定めるにあたって、A自身の過失を考慮して過失相殺するには、Aに事理弁識能力があることは必要でなく、それゆえ、本件ではAの過失を斟酌することができる。

3) 本件損害賠償額を定めるにあたって、BとAとは親子関係にあるが、BとAとは別人格なので、Bが目を離した点についてのBの過失を斟酌することはできない。

4) 本件損害賠償額を定めるにあたって、Aが罹患していた疾患も一因となって死亡した場合、疾患は過失とはいえないので、当該疾患の態様、程度のいかんにかかわらずAの疾患を斟酌することはできない。

5) 本件損害賠償額を定めるにあたって、Aの死亡によって親が支出を免れた養育費をAの逸失利益から控除することはできない。

■解説

【難易度】普通。

1) 誤り。過失相殺(民法722条2項)の際に考慮される被害者の能力については、責任能力は必要でなく、事理弁識能力があれば足りるとするのが判例である(最大判昭和39年6月24日)。藤岡−磯村−浦河−松本『民法W』第3版補訂(2009年、有斐閣)369頁。

2) 誤り。上にあるように、過失相殺の際に考慮される被害者の能力については、事理弁識能力を必要とするのが判例である(最大判昭和39年6月24日)。前掲藤岡他369頁。

3) 誤り。被害者側の過失の問題である。「被害者本人と身分上、生活関係上、一体をなすとみられるような関係にある者の過失は、被害者側の過失として」過失相殺の対象とし得る(前掲藤岡他370―371頁)。最判昭和51年3月25日。この場合、親権者たる監督義務者Bの過失を斟酌し得ると解されている。

4) 誤り。最判平成4年6月25日である。被害者に対する加害行為と加害行為前から存在した被害者の疾患とがともに原因となって損害が発生した場合、当該疾患の態様、程度などに照らし、加害者に損害の全部を賠償させるのが公平を失するときは、過失相殺の際に当該疾患を斟酌することができる。

5) 正しい。最判昭和53年10月20日。前掲藤岡他373―374頁。