■2015年行政書士試験・民法第6問(債権)

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■持参債務(2015−32)【判例、条文知識問題】

AがBに対して電器製品を売却する旨の売買契約(両債務に関する履行期日は同一であり、AがBのもとに電器製品を持参する旨が約されたものとする。以下、「本件売買契約」という。)に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、誤っているものはどれか。

1) Bが履行期日を過ぎたにもかかわらず売買代金を支払わない場合であっても、Aが電器製品をBのもとに持参していないときは、Aは、Bに対して履行遅滞に基づく損害賠償責任を問うことはできない。

2) Aが履行期日に電器製品をBのもとに持参したが、Bが売買代金を準備していなかったため、Aは電器製品を持ち帰った。翌日AがBに対して、電器製品を持参せずに売買代金の支払を求めた場合、Bはこれを拒むことができる。

3) Bが予め受領を拒んだため、Aは履行期日に電器製品をBのもとに持参せず、その引渡しの準備をしたことをBに通知して受領を催告するにとどめた場合、Bは、Aに対して、電器製品の引渡しがないことを理由として履行遅滞に基づく損害賠償責任を問うことはできない。

4) 履行期日にAが電器製品を持参したにもかかわらず、Bが売買代金の支払を拒んだ場合、Aは、相当期間を定めて催告した上でなければ、原則として本件売買契約を解除することができない。

5) 履行期日になってBが正当な理由なく売買代金の支払をする意思がない旨を明確に示した場合であっても、Aは、電器製品の引渡しの準備をしたことをBに通知して受領を催告しなければ、Bに対して履行遅滞に基づく損害賠償責任を問うことができない。

■解説

【難易度】普通。

1) 正しい。Aが「電器製品をBのもとに持参していない」即ち弁済の提供をしていない以上、Bは同時履行の抗弁権(533条)を行使し得るため売買代金を支払う必要もなく、履行遅滞にも陥っていないからである。民法493、492条参照。野村−栗田−池田−永田『民法V』第2版補訂(1999年、有斐閣)217頁以下。

2) 正しい。最判昭和34年5月14日である。双務契約の当事者の一方は、相手方の履行の提供があっても、その提供が継続されないかぎり、同時履行の抗弁権を失わないというのが判例である。ここでAは、電気製品をいったん持ち帰りその後同製品を「持参せず」売買代金を請求したのであるから、Bはこれに対し同時履行の抗弁権を主張し得る。

3) 正しい。債権者Bが受領を拒んだため、Aは「弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告」をしているが(口頭の提供、493条但書)、この口頭の提供には弁済の提供の効果が認められるため、Aは履行遅滞の責を負わない。前掲野村他219頁。

4) 正しい。Aが期日に債務を履行したにもかかわらず、Bが代金支払いを拒絶しているのであるから履行遅滞が発生している。この場合、Aが解除するには「相当の期間を定めてその履行の催告」すること必要となる(541条)。

5) 誤り。よってこれが正解。最大判昭和32年6月25日である。双務契約の当事者の一方(B)が債務の履行をしない意思を明確にした場合、相手方(A)が弁済(口頭)の提供をしなくても、Bは、自己の債務の不履行について履行遅滞の責を負う。つまりAはBに対し損害賠償を請求し得る。前掲野村他220頁。