■2015年行政書士試験・民法第5問(債権)

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■代物弁済(2015−31)【判例問題】

代物弁済(担保目的の代物弁済契約によるものは除く。)に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

1) 債務者が債権者と合意して、債権者に対し本来の債務の弁済に代えて自己が所有する土地を譲渡した場合、土地所有権の移転の効果は、原則として代物弁済契約の意思表示によって生じる。

2) 債務者が債権者と合意して、債権者に対し本来の債務の弁済に代えて自己が所有する土地を譲渡した場合、債務消滅の効果は、原則として移転登記の完了時に生じる。

3) 債務者が債権者と合意して、債権者に対し本来の債務の弁済に代えて自己が占有する時計を引き渡した場合、当該時計が他人から借りた時計であったとしても、債権者が、善意、無過失で、平穏に、かつ、公然と占有を開始したときには、時計の所有権を取得できる。

4) 債務者が債権者と合意して、債権者に対し本来の債務の弁済に代えて自己が所有する時計を引き渡した場合、その時計に隠れた瑕疵があるときでも、債権者は、債務者に対し瑕疵担保責任を追及することはできない。

5) 債務者が債権者と合意して、債権者に対し本来の債務の弁済に代えて手形または小切手を交付した場合、これによって債務消滅の効果が生じるので、それらの不渡りがあっても、債権者は、債務者に対し損害賠償を請求することはできない。

■解説

【難易度】普通。

1) 正しい。代物弁済(民法482条)で合意した所有権移転の効果は、意思主義(176条)に従い、原則代物弁済契約の意思表示によって生ずるというのが判例である(最判昭和57年6月4日)。野村−栗田−池田−永田『民法V』第2版補訂(1999年、有斐閣)235−236頁。

2) 正しい。代物弁済の目的物が不動産の場合このように解されている(大判大正6年8月22日、最判昭和39年11月26日)。二重譲渡の危険を避けるためである。前掲野村他236頁。

3) 正しい。代物弁済についても即時取得(192条)の適用があると解されている。淡路−鎌田−原田−生熊『民法U』第2版(1994年、有斐閣)91頁。

4) 誤り。よってこれが正解である。代物弁済契約は、債権消滅と他の給付が対価関係に立ち有償契約であるから、売買の瑕疵担保責任の規定が準用される(559、561条以下)。野村−栗田−池田−永田『民法V』第2版補訂(1999年、有斐閣)237頁。

5) 正しい。金銭債務の支払に際して代物弁済として手形小切手が交付された場合、それが@本来の給付の履行手段として(弁済のために)なされたのか、A代物弁済として(本来の債務の弁済に代えて)なされたのかが問題となる。@であれば、手形小切手が不渡等になった場合、それで回収できなければ債権者は本来の給付を請求できるが、Aであれば不渡等のリスクは債権者が負うことになる。本肢の場合、「本来の債務の弁済に代えて」手形小切手が交付されたのであるから、債権者は債務者に対して賠償請求をできない。なお一般に、金銭債務の支払に際して手形小切手が交付された場合、それを@の趣旨でなされたものと推定するのが、判例、通説である(大判大正11年8月4日)。前掲野村他236頁。