■2015年行政書士試験・憲法第4問

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■司法権の限界(2015−6)【判例問題】

司法権の限界に関する次の記述のうち、最高裁判所の判例の趣旨に照らし、妥当でないものはどれか。

1) 具体的な権利義務ないしは法律関係に関する紛争であっても、信仰対象の価値または教義に関する判断が前提問題となる場合には、法令の適用による解決には適さず、裁判所の審査は及ばない。

2) 大学による単位授与行為(認定)は、純然たる大学内部の問題として大学の自律的判断にゆだねられるべきものであり、一般市民法秩序と直接の関係を有すると認めるにたる特段の事情がない限り、裁判所の審査は及ばない。

3) 衆議院の解散は高度の政治性を伴う国家行為であって、その有効無効の判断は法的に不可能であるから、そもそも法律上の争訟の解決という司法権の埓外にあり、裁判所の審査は及ばない。

4) 政党の結社としての自律性からすると、政党の党員に対する処分は原則として自律的運営にゆだねるべきであり、一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部的問題にとどまる限りは、裁判所の審査は及ばない。

5) 地方議会議員の出席停止処分は、除名とは異なり議員の権利行使の一時的制約にすぎず、議会の内部規律の問題として自治的措置にゆだねるべきであるから、裁判所の審査は及ばない。

■解説

【難易度】易しい。

1) 正しい。板まんだら事件(最判昭和56年4月7日)である。芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』第5版(2011年、岩波書店)331頁。佐藤幸治『日本国憲法論』(成文堂、2011年)586頁。

2) 正しい。富山大学事件(最判昭和52年3月15日)である。前掲芦部336頁、佐藤594−595頁。

3) 誤り。よってこれが正解である。苫米地事件判決(最大判昭和35年6月8日)は、「直接国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為」(統治行為)は、「たとえそれが法律上の争訟となり、これに対する有効無効の判断が法律上可能である場合であつても、かかる国家行為は裁判所の審査権の外」にある。そして「衆議院の解散は、極めて政治性の高い国家統治の基本に関する行為」であり、「かくのごとき行為について、その法律上の有効無効を審査することは司法裁判所の権限の外にありと解すべき」としている。衆議院の解散につき有効無効を審査することは、「不可能」であり「法律上の争訟」に該当しないのではなく、この判決は、法律上の争訟性を認めた上で司法権の限界だと結論付けているのである。前掲芦部333−334頁、佐藤496頁。

4) 正しい。共産党袴田事件(最判昭和63年12月20日)である。前掲芦部336頁、佐藤420−421頁。

5) 正しい。最大判昭和35年10月19日である。前掲芦部335頁、佐藤594頁。