■2015年行政書士試験・行政救済法第7問

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■損害賠償(2015−20)【条文知識問題】

A県に居住するXは、折からの豪雨により増水した河川Bの水流が堤防を越えて自宅敷地内に流れ込み、自宅家屋が床上浸水の被害を受けたことから、国家賠償法に基づく損害賠償を請求することとした。なお、この水害は、河川Bの堤防の高さが十分でなかったことと、河川Bの上流に位置する多目的ダムCにおいて、A県職員のDが誤った放流操作(ダムに溜まっている水を河川に流すこと)を行ったことの2つが合わさって起きたものである。また、河川BとダムCはA県が河川管理者として管理しているが、その費用の2分の1は国が負担している。この事例に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア) 本件では、公の営造物たる河川の設置管理の瑕疵が問題となっており、Xが国家賠償法2条に基づく損害賠償を請求することができる以上、Dの放流操作に違法・過失があるとして国家賠償法1条に基づき損害賠償を請求することはできない。

イ) 本件では、公の営造物たる河川の設置管理の瑕疵とDの違法な放流操作が問題となっていることから、Xは国家賠償法2条に基づく損害賠償を請求することもできるし、国家賠償法1条に基づき損害賠償を請求することもできる。

ウ) 本件では、河川Bの管理費用を国も負担しているが、管理権者はA県であることから、Xが国家賠償法2条に基づき損害賠償を請求する際には、A県を被告としなければならず、国を被告とすることはできない。

エ) 本件では、河川Bの管理費用を国も負担していることから、管理権者がA県であるとしても、Xが国家賠償法2条に基づき損害賠償を請求する際には、A県を被告とすることも国を被告とすることもできる。

オ) 本件で、原告の請求が認容され、A県が国家賠償法2条に基づき賠償金の全額を支払った場合には、他にその損害を賠償する責任を有する者がいれば、その者に対して求償することができる。

カ) 本件で、原告の請求が認容され、A県が国家賠償法2条に基づき賠償金の全額を支払った場合には、河川管理者がA県である以上、他にその損害を賠償する責任を有する者がいるとしても、その者に対して求償することはできない。

1) ア)、ウ)、オ)
2) ア)、ウ)、カ)
3) ア)、エ)、カ)
4) イ)、エ)、オ)
5) イ)、エ)、カ)

■解説

【難易度】普通。

ア) 誤り。国家賠償法1条と2条の関係については、「すべての事故が、いずれかの条文の排他的適用の下に置かれるというほどに整理されたものではない」とされている。そこでどちらの条文で請求を根拠づけるかは、「原告の選択にゆだねられる」ことになろう(塩野宏『行政法U』第6版〔2019年、有斐閣〕366頁)。本件ではDの過失行為も問題となっているため、1条に基づく国家賠償請求も可能とであると解される。前掲塩野363頁参照。

イ) 正しい。1条による請求をするか、2条による請求をするかは原告の選択にゆだねられる。1条と2条については、「理論的には過失の要件の不要な後者のほうが責任を認定しやすいといえるであろう」(前掲塩野366頁)。前掲櫻井他380頁。

ウ) 誤り。国家賠償法3条1項は、設置管理者とその費用を一部負担する者が異なる場合にも適用されると解される(国道につき設置管理者が国で、都道府県が費用の一部負担をしている場合等)。なお最判昭和50年11月28日参照。前掲塩野372頁、櫻井他389頁。

エ) 正しい。

オ) 正しい。3条2項。

カ) 誤り。3条2項。