■2015年行政書士試験・行政法総論第3問

行政書士合格講座2015年行政書士試験の問題解説>2015年行政書士試験・行政法総論第3問

このサイトについて・プライバシーポリシー 憲法学の窓・公務員試験対策室 Site Map

■行政立法(2015−10)【理論問題】

行政立法に関する次の会話の空欄(ア)−(エ)に当てはまる語句の組合せとして、正しいものはどれか。

教員A「今日は行政立法に関して少し考えてみましょう。B君、行政立法の具体例をいくつか挙げることができますか?」

学生B「そうですね。建築基準法施行規則や所得税基本通達があります。」

教員A「よく知っていますね。建築基準法施行規則はその名のとおり建築基準法の委任に基づき定められた(ア)ですね。国民の権利義務に関わる規定を含むものですから、講学上は(イ)に分類されます。Cさん、所得税基本通達は何に分類されるでしょうか?」

学生C「所得税基本通達は、国税庁内部で上級機関が下級機関に発する事務処理の取決めのことですから、(ウ)でしょうか?

教員A「そのとおりですね。では、(イ)の中には、性質の異なる二種類のものがあることを知っていますか?」

学生B・C「どういうことでしょうか?」

教員A「質問の仕方を変えると、(イ)の中には、新たに権利義務を設定するのではなく、法律を実施するための技術的細目を定めるものがありますよね。」

学生B「(エ)のことですね。申請書の様式を定める規定がこれにあたると言われています。」

教員A「正解です。ただ、このような分類枠組みについては今日では疑問視されていることにも注意してください。」

ア イ ウ エ
1) 省令 法規命令 行政規則 執行命令

2) 省令 行政規則 法規命令 委任命令

3) 政令 法規命令 行政規則 委任命令

4) 政令 行政規則 法規命令 執行命令

5) 政令 法規命令 行政規則 独立命令

■解説

【難易度】易しい。イ)とウ)を先に見て、1)−5)の肢を絞れば容易に正解に達し得る。

ア) 省令。建築基準法施行規則は国土交通省令である。即ち国土交通大臣が、「主任の行政事務について、法律若しくは政令を施行するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、それぞれその機関の命令として」(国家行政組織法12条1項)発した省令である。

イ) 法規命令。行政立法の内「国民の権利義務に関わる規定を含むもの」を法規命令外部法)と呼ぶ。塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)塩野93頁、櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)59頁。

ウ) 行政規則。行政立法の内「国民の権利義務に関わる規定を含まないもの」を行政規則内部法)と呼ぶ。前掲塩野99頁、櫻井他59頁。所得税基本通達のような「行政機関の行動基準」を定めるものは行政規則に分類される。前掲塩野101頁以下、櫻井他67−68頁。

エ) 執行命令。法規命令の内、権利義務関係の内容自体ではなく「その内容の実現のための手続」に関するものを執行命令という。問題文にあるように、届出の様式を定めるものがこれに該当する。前掲塩野94頁、櫻井他61頁。

よって正解は1)となろう。

なお行政立法には法規命令と行政規則があり、前者には委任命令と執行命令が含まれるという分類(田中二郎)は、問題文にもあるように「今日では疑問視されている」。その理由としては、「行政規則の外部化現象」(前掲塩野100頁以下)が見られるということや、委任命令と執行命令の区別も「それほど明確ではない」(前掲塩野95頁)ということ等があげられる。この点につき前掲櫻井他58頁。