■2015年行政書士試験・行政法総論第2問

行政書士合格講座2015年行政書士試験の問題解説>2015年行政書士試験・行政法総論第2問

このサイトについて・プライバシーポリシー 憲法学の窓・公務員試験対策室 Site Map

■安全配慮義務(2015−9)【判例問題】

国と国家公務員との法律関係に関する次の記述のうち、最高裁判所の判決に照らし、正しいものはどれか。

1) 国と国家公務員は特別な社会的接触の関係にあるので、公務災害の場合、国は、一般的に認められる信義則上の義務に基づいて賠償責任を負うことはない。

2) 安全配慮義務は私法上の義務であるので、国と国家公務員との間の公務員法上の関係においては、安全配慮義務に基づく責任は認められない。

3) 公務災害に関する賠償は、国の公法上の義務であるから、これに民法の規定を適用する余地はない。

4) 公務災害に関する賠償については、国家賠償法に基づく不法行為責任が認められる場合に限られ、上司等の故意過失が要件とされる。

5) 公務災害に関わる金銭債権の消滅時効期間については、早期決済の必要性など行政上の便宜を考慮する必要がないので、会計法の規定は適用されず、民法の規定が適用される。

■解説

【難易度】易しい。自衛官に対する国の安全配慮義務が争われた最判昭和50年2月25日の理解を問う問題である。

1) 誤り。国と公務員との間であっても、信義則上発生する義務として安全配慮義務が認められ、安全配慮義務違反につき損害賠償責任が発生するというのが判例である(最判昭和50年2月25日)。櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)31頁。

2) 誤り。安全配慮義務は、「ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に入つた当事者間において」信義則上発生する義務であるというのが判例である(最判昭和50年2月25日)。公法関係か私法関係ということで、安全配慮義務の有無が決まるわけではない。

3) 誤り。公務災害に関する賠償の中で、安全配慮義務違反を理由とする賠償の消滅時効については、会計法30条ではなく民法167条1項(新166条)の適用を認めるのが判例である(最判昭和50年2月25日)。塩野宏『行政法T』第5版(2009年、有斐閣)29頁、前掲櫻井他29頁。

4) 誤り。公務災害に関する賠償については、国家賠償法に基づく不法行為責任が認められる場合に限られず、公務員関係における安全配慮義務違反の場合も認められる(最判昭和50年2月25日)。

5) 正しい。最判昭和50年2月25日。前掲塩野29頁、櫻井他29頁。