■2015年行政書士試験・行政法総論第1問

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■裁判による行政上の義務履行確保(2015−8)【判例問題】

裁判による行政上の義務履行確保について、最高裁判所の判決に照らし、妥当な記述はどれか。

1) 国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務履行を求める訴訟は、法令の適用により終局的に解決することができないから、法律上の争訟に該当しない。

2) 国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務履行を求める訴訟は、このような訴訟を提起することを認める特別の規定が法律にあれば、適法となりうる。

3) 国又は地方公共団体が財産権の主体として国民に対して義務履行を求める訴訟は、終局的には、公益を目的とするものであって、自己の権利利益の保護救済を目的とするものではないから、法律上の争訟には該当しない。

4) 国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務履行を求める訴訟は、行政上の義務履行確保の一般法である行政代執行法による代執行が認められる場合に限り、不適法である。

5) 国又は地方公共団体が財産権の主体として国民に対して義務履行を求める訴訟は、法律上の争訟として当然に裁判所の審判の対象となるわけではないが、現行法上、こうした訴訟を認める特別の規定があるため、提起することが許されている。

■解説

【難易度】やや難しい。

1) 誤り。「国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として国民に対して行政上の義務履行を求める訴訟は」、「法律上の争訟に該当しない」という点は正しい。但しこのような訴訟は、「法規の適用ないし一般公益の保護を目的とするものであって、自己の権利利益の保護救済を目的とするものということはできない」から法律上の争訟性をみたさない、というのが判例の理由づけである(宝塚市パチンコ条例判決。最判平成14年7月9日)。櫻井敬子−橋本博之『行政法』第5版(2016年、弘文堂)254頁。

2) 正しい。最判平成14年7月9日。前掲櫻井他167頁。

3) 誤り。「国又は地方公共団体が専ら行政権の主体として」ではなく、「財産権の主体として国民に対して義務履行を求める訴訟」については、法律上の争訟性を認めるのが判例である(最判平成14年7月9日)。前掲櫻井他167頁。

4) 誤り。1)の解説参照。なお最大判昭和41年2月23日参照。前掲櫻井他167頁。

5) 誤り。3)の解説参照。なお判例のように「行政権の主体として国民に対して行政上の義務履行を求める訴訟」を法律上の争訟から除外するという立場に対しては、行政上の義務履行確保について「司法的執行の可能性をおよそあり得ないとして否定するもの」であり、「法律上の争訟」(裁判所法3条1項)及びその根拠たる「司法権」(憲法76条1項)を極端に狭めるもの、という批判がある。前掲櫻井他167、254頁。